杭州は、中国東南部の浙江省の沿海都市で、2200年余りの歴史があります。中国の古い言葉には「上有天堂、下有蘇杭」という言い方があります。その意味は、「天には極楽があり、地には蘇州と杭州がある」ということです。
今週のワンポイントでは、杭州の古い町、河坊街をご紹介しましょう。河坊街は杭州の有名な山である呉山の麓にあります。道幅が12メートル、全長が460メートルの街で、杭州の歴史と文化を最も体験出来る街の一つです。
河坊街の入り口には、弥勒の銅像があります。弥勒の体の上や周りには、100余りの男の子の像があります。これは、現代の有名な銅像作家である朱ヘイ原さんの作品です。河坊街に来る観光客は普通、必ずここで記念写真を撮ります。それは、弥勒のようにいつも笑っていられるように願っているためです。
河坊街に入ったら、木造の家屋に、青い瓦、古い様式の建物が目に入ります。これらは、880年前の中国の南宋の時代の建物を模して作られました。南宋の時代、杭州は都でした。当時、河坊街は文化と経済貿易の中心地で、とてもにぎやかでした。今も街では古くから受け継がれてきた伝統的な祭がよく見られます。これについて、河坊街管理委員会の単嫻(カン)萍さんは「季節ごとに、街では様々な祭が行われる。春節の時には縁日があり、旧暦の一日から十五日まで多くのイベントを行う。また端午の節句などの祝日にも活動がある。こうして、伝統的な文化や風俗習慣を伝えいくことができる。そして、ここに来る観光客はただ景色を見るだけではなく、より奥深い中国の文化を体験することができる」
また、この街では独特の中国服姿が見られます。あの裾の長い色鮮やかな中国服です。その姿は非常に目立ちます。例えば、河坊街には多くの茶館、つまり喫茶店があります。茶館の給仕やウェートレスは皆長い中国服を着ています。また、飴を売る人や、布の芸術品を売る人など、長い中国服を着ている姿が多く見られます。
さらに街の奥の方へ進むと胡慶余堂があります。胡慶余堂は杭州でとても有名な薬屋さんです。1874年、有名な商人である胡雪岩という人が店を開きました。その敷地面積は4000平方メートル余りです。
胡慶余堂には、48の金ぴかの看板があります。それらは、全部当時よく売れていた商品の紹介です。看板は、イチョウの木で作られていて、虫食いを防ぐことが出来ます。胡慶余堂はとても信用を重んじています。店の中には"真不二価"という額があります。つまり、本物には二つの値段はないということです。100年余り経っても、胡慶余堂は良い評判を保っています。
河坊街の建物を見たあとは、おいしい軽食を食べましょう。ここの軽食は100種類ぐらいあります。日本で言えば、おでんや焼き鳥やたこ焼きみたいなものが100種類もあるということです。杭州は中国でも南の方にありますから、軽食も甘いものが多いです。でも、もちろん、北方の食べ物もあります。観光客は、自分の好みによって選ぶことが出来ます。
それから、民芸品を作る職人さんたちも河坊街の見ものの一つです。泥人形を作る人、草でトンボを編む人、陶器を作る人などなどです。今年、75歳の季長義さんは、飴細工屋さんで、飴で動物や人間などを作ります。
歴史が色濃く残っている河坊街は世界各地からの観光客をひきつけています。杭州の最も代表的な歴史文化、商業文化、下町文化、建築文化をここで味わうことが出来ます。ここに遊びに来たマレーシアの華僑、衛成和さんは
「初めて来た。こんなに美しくて、歴史の雰囲気があるところとは思わなかった。私は、以前中国語を教えたことがあるので、中国の歴史を少しは知っている。この街を歩いていると、まるで昔に戻ったような気がする。チャンスがあれば、家族と一緒にここに来たい。今、このように美しい所はなかなか見つからない。特にわれわれ外国で暮らす中国人にとって、ここで、中国の伝統的なもの、特に伝統的な手工芸を見学できるのは本当にありがたいことである。」と述べました。
世界のどこでも共通だと思いますが、伝統的なものは一つの民族の象徴です。きちんとそれを保護していくのは、今を生きるわれわれの責任だということをしみじみと感じています。
河坊街へのアクセス:
河坊街は杭州の西湖の東、呉山の麓にあります。飛行機で杭州の蕭山空港に着いてから、市内バスやタクシーで簡単にいけます。河坊街は杭州市内にありますから宿泊も便利です。
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