河北省の南部、湖北省との境に信陽市があります。この信陽市から5キロ離れたところに南湾湖があります。豊かな森林資源、多くの島、優れた生態環境は、南湾湖の観光ポイントとなっています。南湾湖観光区は、国家4A級観光区で、国家水利風景区と国家森林公園もあります。中原一の湖とたたえられています。南湾湖の水域面積は75平方キロで、杭州の西湖の12倍の広さがあります。水面が広く、まるで果てのない海のようです。そして、広い湖には変化に富んだ61の島が点在しています。その中には、鳥の島である鳥島とサルの島である猿島が一番有名です。
それでは、そのうちの一つ、鳥の島・鳥島へ行ってみましょう。港から船で8、9キロぐらい行くと、鳥島に着きます。実は、この鳥島にはもう一つの名前があります。地元の人はこの島を牌坊(はいぼう)島と呼びます。牌坊というのは、日本の鳥居のような門のことです。
清の時代、この島には曹という女性が住んでいました。曹さんは一人の子供を生んで、まもなく夫が亡くなりました。家族と周りの人は、一人で子供を育てる曹さんに同情しました。そして、「ほかの家に嫁いで、新しい夫と一緒に子供を育てるほうが楽だろう」と曹さんに言いました。でも、曹さんは「縁を結んだ以上、夫が亡くなっても、私は彼の妻です。一生ほかの男性とは結婚しません」ときっぱり断りました。そして、曹さんは苦労に耐え、一人で子供を育てあげました。地元の政府は、曹さんに感動し、彼女のために牌坊を立てました。そこで、この島は牌坊島と呼ばれてきました。
島に入ると、あちこちで鳥が見られ、鳥の鳴き声がずっと聞こえます。一番多いのは白鷺です。毎年10万羽以上の白鷺がここに集まる景観は、本当にすばらしいです。一行の白鷺が青空へ上っていくという中国の詩そのものの様子が、ここで見られます。
この鳥島には白鷺など多くの鳥が住んでいますが、60もある島のうち、白鷺は鳥島にしか見られません。それは、この鳥島にある豊富な植物と関係があります。特に、ケナフという木が茂っています。白鷺はケナフの香りがとても好きなので、ここで巣を作ります。また、浅瀬や浜辺が多くて、小さい魚とえびなどのえさを取るのに適しています。これらの条件に恵まれ、毎年3月から11月まで、10万羽ぐらいの白鷺が鳥島に集まってきます。
鳥島に行ったら、ぜひ"鳥語林"公園に行ってみてください。文字通り、鳥の言葉が聞こえるところです。この公園は2004年に造られ、敷地面積は1万5000平方メートルです。滝、オシドリ川、白鳥湖、ハトの広場、鳥の劇場からなっています。その中には、300種類以上、1000羽あまりの鳥がいます。鳥の劇場では、「いらっしゃいませ!」「こんにちは」などと挨拶してくれる九官鳥、琴を弾いたり、踊ったりするオウム、それに算数ができる小鳥など、観光客を喜ばせる鳥のスターが集まっています。
また、鳥語林の東南部には、鳥の王国があります。そこには、色鮮やかで、模様がさまざまな鳥がいます。鳥たちは空を飛んだり、水面を泳いだり、木の枝で休んだりしていて、まさに鳥の国に入ったようです。
次は、猿島に行きましょう。島に上陸すると、杉や松などの木の上や石の陰など、あちこちに猿の姿が見えます。足を組んで休んでいる猿、子供を抱いてえさを探している猿、けんかしている猿、木の間でジャンプをする猿、……これら元気いっぱいの猿たちは本当にかわいいです。これらの猿は人間を怖がるどころか、人間に寄ってきて食べ物を求めます。落花生を投げてやると、猿たちはすぐ集まってきます。小さい手でうまく皮を剥いて中の実だけを食べます。本当に頭のいい動物です。これらの猿は太行山から来た、一つの群れです。群れには王がいます。王と呼ばれる集団のリーダーは4年に一度変わります。強いオスの猿が集まって争います。勝った猿は王になります。王は多くの権利を持っています。例えば、先に食べ物を取ること、ほかの猿に指示を出すこと、好きなメス猿を自分のものにすることなどがあります。ほかの猿は王に逆らうことはできません。
湖、島、山林などはもちろん南湾湖観光区のポイントですが、地元の茶の文化も有名です。中国の十大銘茶の一つに数えられる信陽毛尖茶(シンヨウモウセンチャ)です。信陽は、お茶の歴史のなかで、古くから名を知られた土地でもあります。お茶の聖人である陸羽が編纂したお茶の本『茶経』によりますと、中国のお茶の産地は沢山ありますが、中でも有名な地域を8大茶産地に分けていて、「信陽は淮南のお茶の産地」と記されています。南湾地域は信陽のお茶の区域にあります。その周りには、車雲山、集雲山、連雲山、雲霧山、天雲山など5つの山があります。この地域は、渓流が多く、お茶に必要とされる霧が四季を通じて立ちこめ、土壌や気温、降水量など、お茶の成長に適した自然環境に恵まれた土地です。
南湾湖のアクセス方法:
南湾湖は河南省の南部にあり、信陽市から5キロ離れています。京広鉄道(北京?広州)、京九鉄道(北京?九龍)、そして、106国道と107国道、312国道が信陽を通ります。南湾湖は中国の北方から南方へ移り変わっていくところにあり、気候が変わりやすいです。だから、南湾湖に行く方は、ぜひ服装に注意してください。
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