シガツェはラサの西に250キロあまり離れたところにあります。チベットの二番目の都市です。ラサを出発してから、車はずっと川岸を走っていたようです。ラサの近くでは波一つもない透き通ったラサ河でしたが、それはいつの間にか流れの激しいヤルツァンポ河に変わりました。
川岸の道で、両側に4000メートル以上の高い山が連なる、壮大な景色でした。本当についその中に酔い痴れてしまうような、すばらしい景色です。しかし、その道はほんとうに険しかったです。よく整備された道路ですが、道端の山々には、木がないどころか、場所によって、草も生えていないところもあります。富士山の頂上と同じように、小さな砂利や砂だらけです。
シガツェ一帯は、気候が温和で、農業が発達し、チベットの「食糧倉庫」の一つです。また、古い歴史があり、交通も便利で、交通の中枢でもあります。シガツェ地区観光局の郭僧保副局長の話です。
「観光客がシガツェに来て、ここを経由して一番行きたがるところは、チョモランマ峰です。樟木(ジャンムー)という国境地帯の町も人気があります。観光客はそこに行って、ネパールの雰囲気を楽しむことができるからです。それから、きれいな湖や高い山なども人々の目をひきつけています。更に、文化的な面では、有名なタシルンポ寺がバンチェンラマのお寺です。そのほか、愛国教育基地ギャンツェや、比較的完璧に残された領主荘園、パラ荘園なども必見の場所です。」
シガツェを拠点にして、近隣の見所に行くことができるわけです。もちろん、世界一のチョモランマ峰をこの目で見てみたいですが、ちょっとアクセスしにくいので、お寺めぐりもいいと思います。
シガツェ地区では、一番有名なお寺はタシルンポ寺です。タシルンポ寺は歴代のバンチェンラマのお寺ですから、政教一致だったチベットでは、シガツェは昔からこの地域の政治、経済、文化、宗教と交通の中心地でした。タシルンポ寺は1447年に建立されたものです。
世界一大きい銅製の仏像がお寺の中に安置されています。未来仏とされる弥勒菩薩、チベットでチャンバー仏と言いますが、その仏像の高さはなんと26.7メートルに達しています。耳の長さは、2メートルを超えています。その微笑を見ると、自分の小ささを一層感じました。
昔、仏像はすべて信者が寄付したお金や物品で作られたものです。無数の宝石がちりばめられたこの仏像からも、チベットの人々の信仰の深さをうかがうことができると思います。タシルンポ寺管理委員会のサロンピンラ副主任は、「お寺では様々な宗教活動を行い、多くの信者が訪れている」と話しました。
「タシルンポ寺では、お経を読むことなど小さな宗教活動は毎日行っています。大きな行事は主に次のようなものです。まず、チベット暦一月に行われるMonlam大法会は規模がとても大きいです。チベット暦4月のサガダワ節は、お釈迦様の誕生日です。5月の14日、15日と16日は、過去仏、現在仏と未来仏を画いたチベット仏画を展示します。また、6月4日の法輪祭、8月の『スムチャム』すなわち、鬼払い、それに、10月25日の点灯祭などがあります。」
毎年、タシルンポ寺をお参りする信者はおよそ30万人ぐらいいます。大きな行事があるときは、一日に数万人がお寺を訪れることもあるそうです。
また、シガツェでは、チベット族の人の家でホームステイも出来ます。特に、外国の観光客から強い要望があるので、現地政府はチベット族の家庭に呼びかけて、観光客を受け入れる体制を整備しています。シガツェ地区観光局の郭僧保副局長の話です。
「シガツェ地区の農民・牧畜民で、宿泊を提供できる家庭はすでに200世帯を超えました。観光客はそんな家庭で本場のチベット料理を食べ、チベットの家に泊り、一日中チベットの生活を楽しむことができます。」
古い文化、雄大なお寺、そして、きれいな自然を持つシガツェは、非常に魅力的なところです。皆さん、チャンスがあれば、ぜひシガツェを観光していただきたいものです。
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