(4日目ー8月22日、敦煌)
食事も済んで休憩したところで午前の観光に出掛けた。まずは一番遠い陽関へと向かった。
郊外へ出ると団地が見えてきた、説明によるとこの団地には普段は余り男達がいないとのこと、何故居ないかといえば石油公団のものだそうで、旦那達は広大な砂漠の中のプラントで働いているからだとの事だった。しかし一般の労働者より賃金は数段上といっていた。
そんな団地を過ぎた辺りから綿花畑が現れ、反対側の離れたところには砂丘が見えてきた。
しばらく同じような景色が続くうちに砂丘を背にした城壁と平城みたいなものが見えてきた。ガイドの話では、数年前に日中合作で製作された映画「敦煌」の実物大の城、城壁、町並み等の広大なセットだそうでそのまま残されているらしい。そして原作者の井上靖はここ敦煌へ何度も訪れていたそうだ。ここの街が発展したのも、有名になったことも、駅名が替わったことも全て先生のお蔭であると話していた。それで納得がいった。NHKの新旧シルクロードといい、井上靖といい、日本人観光客が大挙して押しかけるようになり、あのような日本人御用達の一流ホテルも出来る訳である。
1番目の観光地、陽関へ着いた。ここは古代シルクロードの軍事、通商の重要な関所が有った所らしい。バスを降りて見学にいくが、やはり何処にでも現れる土産物屋の入口があった。中に入っていくと、昔使ったであろう兵器や戦車(と言っても馬に引かせた)が復元されて展示してある。がそれが余りにも子供騙しで安っぽく、せっかく作るのだから何故もっと史実に忠実に出来ないのか?聞くところによるとこの土産物屋等を作った人は倒産したらしい。そんなこんなを見た後観覧車に乗って狼煙台跡へと上った。小山の頂きからの眺めは本当に素晴らしかった。遥か見渡すかぎりの砂漠だ、それも360度ぐるりであり、近くの低地にはオアシスみたいな緑地帯も見える。それにしても雲ひとつない、澄み切った濃い青空だ。公害なんぞ縁のないところだから、はるか遠くまで見える。殆ど風も無かったので、陽炎や、砂嵐もまったく見えない。こんな濃い青空を見たのは中米以来だ。いやそれ以上かもしれない。中国もあんな安っぽい物は止めて、もっとこうした景色を売り物にしてくれたらリピーターも増えると思うのだが、そんな思いをしながら昼食に向かった。今朝の愛想悪かったガイドは、よく聞いているとけっこう冗談も混ぜてうまい日本語を喋って説明してくれている。朝方は3時頃からの出向かえ用意できっと睡眠が足りなかっただろう。今日の男性ツアコンは今までで一番上手だし、しっかりした日本語を話している。昼食は「太陽食府」というレストランだった。野菜を中心とした料理で、少し濃い目のスープに麺を漬けて食べたり、クレープの様なナンが有ったりと、けっこう食がすすんだ。食事が済んだところで、本日のハイライトである莫高窟へと向かった。
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