(3日目ー8月21日、トルファン→敦煌)
しばらくしてほんのりした甘さを残しながら次の所へ向かった。バスはとある民家の前で止まり我々はその民家へと入って行った。その民家は葡萄を生産、収穫している農家とのことだ。入っていくと葡萄棚の下の木陰にカーペットを敷いた縁台があって座卓が設えられていて、お茶、スイカ、メロン、数種類の葡萄と干し葡萄が並んでいた。
しばらく家の中や部屋をみたあと、テーブルに着いて葡萄を色々と味わってみたが、どれもこれもうまい。乾燥ものは、十種類ほどの干し葡萄、乾燥梅、乾燥杏等があり、縁台の横ではその干し葡萄の販売も行っていた。色々な種類を味わいながら皆も購入したりしていた。干し葡萄は日本やアメリカ産のような甘ったるいものではなく、自然の甘さで心地よかった。これが農薬を使ってないことを信じよう。(しかし毎年、それも長年に渡って、同一の場所での生産は出来ないと思うのだが、それと最近の中国は経済を優先するあまり、大量の農薬を使用しているとの報道も聞いているが)やっと本日の見学も終わり次の目的地である敦煌へ向かうべく、約3時間荒涼とした砂漠の中をウルムチ駅へとバスに揺られた。ウルムチ市街とも、トルファンとも離れた荒涼とした中にその駅が在った。駅の周りに多少のホテルとか商店街があるだけだ。バスと別れて駅に向かったが、我々は一般の人々が入っていく入り口とは違う貴賓庁(Honoured Guest Lounge)いわゆるVIP待合室の様なところに入って行った。それは駅舎の2階に在りバー・カフェカウンター、土産物コーナーが付随した大きな応接室である。中には服務員が大勢いて、盛んに土産物を薦めている。中国人は居ないし、居たとしても特権階級だろう。30分も待っただろうか、火車(列車の事を中国語で言う)が入ってくるというので、支度してホームへと向かう。5分もすると列車が入ってきたので、全員乗り込む。我々の客車は4人1室の軟座(コンパートメント)で特1等車というところか。入口では専用の女性服務員が乗客をチェックしている。
我々の中でもこれを過去に利用した人が少ないせいだろうか、各自それぞれのコンパートメントに入って楽しそうだ。私は以前北京に滞在していた時に何回となく利用したことがあったので、さほど珍しくもなかったが、全体が非常に綺麗でスマートになっている。全員が席に付くとまもなく走り出した、20:50発で敦煌まで約8時間の夜行である。
コンパートメント内には熱い湯が入ったポットがあり、何時でもお茶が飲める様になっている。これは昔も今も変わりない。特1等車は1両で部屋が9室、両側にトイレ、片側に洗面所、服務員控え室、熱水タンク、が常設されている。中国は広軌道(新幹線と同じレール幅)なのでけっこうゆったりしていて、揺れないし、ディーゼル機関車での牽引だから、音も静かである。ベットでも足はしっかり伸ばせるし。夕闇に写る景色はまったくの荒野、砂漠で変化がない、夜の帳も下りてきたし・・・お休みなさい。
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