見学も終わり昼食の為に市内へと戻った。餐庁は我々の泊ったホテルの別館である。内容は結構野菜を中心とした中華であったが、中でもあっさりしたスープの麺と果物、特にここ名産の葡萄等が美味しかった。
食事も終わったところで、午後の見学場所である交河故城へと向かった。この交河故城は「NHK新シルクロード」のタイトルバックでパラグライダーによる遺跡の鳥瞰撮影がされているところである。2本の河の中の高い崖に挟まれた中州上に作られた街の廃墟で、軍艦が河に浮かんでる感じだ。バスを降りて先ず案内館の縮尺で全体をみたあと、今度はそこへ行ってみようと中央道路へ入って行ったが、とにかく暑い、晴天の上に午後2時頃である。その上日陰もないし太陽はギラギラ、温度計を見てびっくり40 度を越してるではないか!戻ろうかとも思ったが見たいと思う気持ちが勝り中へと進んでいった。
午前中に見学した高昌故城ほどは荒廃していないが、設けられたのはそれより前の前漢時代からと言うから凄いものだ。そして衰退したのは元代とのことで相当長く続いたものである。1時間ぐらいあちこちを見て回り休憩所へと戻って来た。聞きしに勝る暑さだ。本当に暑い時はこんなもんではないそうである。「灼熱」という言葉がぴったりするとのこと、しばらく休憩したあとカレーズ見学に出掛けた。
葡萄棚やら街路樹が道路の両側に写り始めたところで、とある土産物店が並んでいる前でバスが止まり、ここがカレーズの見学場所だと言っているので、早速見学にでかけた。
ゲートを潜り土産店が立ち並ぶ中を進んでいくと、地下へ通ずる階段を下りた行った。とそこに見えたのはトンネル状の地下通路になっていて、その下を澄み切った清水が勢いよく、流れている。それもけっこうな水量である。街を外れれば荒涼とした不毛の砂漠が果てしなく広がっているところで、何で水が!しかも相当の水量を伴って!驚きである。
そして地上の暑さとは対照的にけっこう涼しい。そんな驚きのなかガイドがパネルのあるところでカレーズについての説明をした。その説明を要約すると次のようなことである。
カレーズとは西アジア一帯で行われている特殊な水道設備であり、高地にある水源から水を引くのに、地上を引くと、蒸発、砂嵐等の自然災害が多いので、水源地から町まで20~30mおきに堅穴を堀り、その堅穴を横穴のトンネルで継ぎそれを繰り返して数十kmいや数百kmも延々と引いてきているのである。現代のような機械設備もない時代によくぞ人力だけで掘ったものである。ここトルファンは北に天山山脈があり、真夏でも雪を頂くような山並みがあり立派な水源がある。そして地形的にもある程度下には水が浸透しない層があるので、条件も適していただろう。しかし半端な深さではなく、深いところでは80mの深さがあるとのこと。それと市内では何十本も引かれているとの事である。ここトルファン盆地は市内で海抜0m低いところではマイナスらしい。
そんな凄い水路を見たあと地上の休憩所で一服となった。そこに出されていたのは薄い緑色した葡萄や赤・白のワインだった。その葡萄の歯切れ良い噛み答え、水々しさ、甘さは例えようもないくらい美味しかった。これもカレーズと乾燥した暑い天候が成せた技なのだろう。特に先ほどの暑さの後だったから、尚更美味しく感じた。
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