北京市の北側の第三環状線沿いに、大鐘寺古鐘博物館があります。この博物館は大鐘寺という古寺をベースにしたもので、460点余りの古い鐘を所蔵しており、中国で唯一の古い鐘の博物館だと言われています。
この大鐘寺には、明の時代(今から500年余り前)に鋳造された永楽大鐘という梵鐘があります。この梵鐘は、重さ46.5トン、高さ6.75メートル、直径3.3メートルで、表と裏には23万字もの経文が刻まれています。
永楽大鐘は、地面に穴を掘って造型し、鋳型を使って鋳造されたものです。鋳造の時、数十基の溶鉱炉を同時に稼働し、溶けた銅を鋳型に注いで出来上がるもので、とても巧妙な作り方だそうです。
永楽大鐘の音は耳に快いものだと言われています。専門家の実験で、鐘の音の周波数が音楽などに近いことが判明しました。軽くたたくと、滑らかに響き、力を入れてたたくと、大きく優雅に響きます。鐘の音は45キロも離れた所まで伝わり、その余韻は2分間以上も続くということです。
毎年の除夜に、この永楽大鐘が鳴らされます。500年以上の歴史を持つこの梵鐘は、今なおすばらしい音を響かせます。中国の科学者が鐘の金属成分を分析した結果、永楽大鐘には銅、錫、鉛、鉄、マグネシウムのほか、金や銀の含有量が高いことが分かりました。銅器に金を入れると、さびどめになり、銀を入れると溶かした時の流動性が高くなるとのことです。こうしたことも、永楽大鐘が500年以上も良好なまま、美しい音色を響かせる原因と考えられます。(翻訳:姜平)
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