こんな公園の中で結婚記念写真を撮っているカップルが、何組もいました。中国らしい風景です。中国では、結婚披露宴とは別に記念写真を撮るカップルが多いということで、プロのカメラマンに注文をつけられながら、大勢の花見客が見守る中、ポーズをとりながら写真に収まっていました。順番待ちをしているカップルに聞いた所、写真代は2000元から3000元。若者のひと月分の給料です。結構高いなと思いながら、後日、日本語部の若者に確かめた所、それはまだ安い方で、5000元から6000元ぐらいする豪華版もあるようです。
田中元首相寄贈の大山桜
友誼桜林
満開のソメイヨシノ
ところで、この公園に桜が植えられたのは、日本と中国が国交を正常化した1972年、当時の田中角栄首相が訪中した際に、北海道の大山桜の苗木を寄贈したことが始まりです。その時、玉淵潭公園に植えられた180株の桜の苗木は、1980年代から90年代初めにかけて盛んに花を咲かせましたが、しかし北京の気候や土壌には合わずに枯れてしまったものも多く、その大山桜は20本しか残っていません。しかし、その後中国国内の別の桜の名所から苗木を持ってきたり、日本の日中友好団体から寄贈が行われたりして、現在ではソメイヨシノや八重桜、彼岸桜など20種類およそ2000本の桜が見事に育って、北京市民にお花見を楽しむ場を提供しています。
4月11日から3日間、中国の首相としては7年ぶりの温家宝首相の訪日が成功裏に終り、日中の関係は「政冷経熱」という状態からようやく脱却する兆しが見え始めました。日中間に横たわる様々な問題については、主張は主張でぶつけ合いながらも、首脳の相互訪問を今後も続け、「政熱経熱」といった状態の中で、北京の桜を眺めたいものです。(写真、文:中村 治) 1 2 3
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