北京はカメラ、東京は傘が一番。日本と中国の忘れ物の多さです。春の行楽シーズンが間近か。北京の忘れ物事情をお伝えしましょう。
その前に日本。東京の場合、年間で傘が42万本、継いで財布20万個、携帯電話9万個というのが最新の数字です。駅や電車の中に忘れるというのが圧倒的に多く、最寄の駅で数日預かったあとは警視庁の遺失物センターに送られ、6ヶ月間落とし主を待ちます。そして現れなければ、拾った人、つまり届けた人の所有物となります。
北京ではどうなっているんだろうと日ごろから思っていたら、先日、地元の新聞に面白い記事をみつけました。「忘れ物と重点区」。昨年、一番多かったのがなんとカメラでした。次が携帯電話、そして時計と続きます。かつて、カメラは中国の人にとっては超高級品。それもデジカメの割合が増えています。改革開放の成果は、こんなところからもうかがえます。
傘が上位にない、というのも納得がいきました。北京は雨があまり降りません。もちろん、梅雨もありません。一日中雨が降り続くのは珍しいことです。傘を持って外出という機会が少ないのですから、忘れ物にもならないというわけです。
交通機関や建物の中より、戸外で物をなくすというのもこちらの特徴で、故宮、イ和園、北海公園、香山公園といった観光ポイントが多いのです。外国人はもちろんですが、いわゆるお上りさんが北京にやってきて訪ねるのもこれらの場所。ついつい気をとられてしまうのでしょうか。
天安門広場が入っていません。中国の友人に聞いたら、あそこは広くて見晴らしがいいから、落し物に気づくんだとか。「子供の落し物が多い」というんでびっくりしたら、そう、迷い子が多いのが天安門広場です。
では、なくしたらどうするか。北京の場合、直接警察に届けるほか、電話、インターネットでの検索(http://www.bigai.gov.cn)も可能です。
そして、1年間の保管期間を経て、申し出がなければ国庫のものになるそうです。しかし、先の友人の話だと、携帯電話を落としたらまず、戻ってくるのは無理。かつての中国の美風が失われているのも事実です。(日本語専家 吉田 めい)
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