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精巧な刺繍 |
刺繍学校の子供達の作品 |
ひと針ひと針、丁寧に刺繍された絹の糸。
その糸がつむぎ出す色模様に、思わず心を奪われてしまいます。
中国の少数民族のひとつ・ミャオ族は、素晴らしい刺繍文化を持つことで知られています。もともと文字を持たなかったミャオ族は、民族のルーツや精神、文化のすべてを刺繍の図柄に表現したとされています。蝶や太陽、花、動物・・・自然界への敬意を込めた精巧な刺繍は、「見事」というほかありません。
ミャオ族の母親は、家族の衣服や服飾品に刺繍をほどこし、その技術を愛しいわが子へと伝えてきました。「刺繍の上手な女性は、いいお嫁さんになる」とされ、年頃の女性たちはこぞって刺繍を学びました。
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店内のようす |
雑貨が並ぶ |
しかし、その伝統が、今では途絶えようとしています。近代化に伴い、自給自足の生活を送ってきたミャオ族も、現金収入を重視するようになりました。働き者の女性たちは、村を離れ町で働くようになりました。若者たちは広い見識を身に付けようと都会の大学に通うようになりました。そんななか、代々受けつがれてきた刺繍文化が、いつしか伝えられなくなってきたのです。いまでは、30代以下の女性のほとんどが、「刺繍をさしたことがない」と言います。
さらに、家庭にある刺繍作品を売って現金に換える人も増えており、ミャオ族の村には刺繍作品がほとんど残っていません。人々が身に付けているのはTシャツにジーンズ。美しい刺繍が入った民族衣装を着ているのはご年配の方々だけ、というのが現状です。
セレクトショップM's(エムズ)は、ミャオ族の刺繍にほれ込み、それを守るため活動している日本人女性・佐藤さんが開いたお店です。店内には、ミャオ族の貴重な刺繍作品を中心に、雑貨や衣料品など、手仕事の一点ものが並んでいます。現代的なデザインにミャオ族の刺繍をあしらったジャケットやスカート、バッグなどは洗練されていて、普段着としても愛用できます。そのほか、携帯電話ケースやブックカバー、ティーカップなどは、プレゼントとしても喜ばれそうです。
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ミャオ族の人々(写真) |
刺繍入りクッション |
佐藤さんは、ミャオ族が多く暮らす貴州省の台江(タイジャン)という街に小さな刺繍学校をつくり、経済的な理由で学校へ行けない子供達に刺繍や織物などの伝統技術を無料で学んでもらっています。M'sの売り上げの一部は、この刺繍学校へ寄付されるなど、伝統文化を次世代に伝えていくために使われています。また、刺繍学校の生徒たちの作品も、店内で展示・販売されています。刺繍を学び始めて間もない子供たちが一生懸命さした刺繍。その作品は、まだあどけなさが感じられますが、自分たちの文化に対する誇りがストレートに伝わってきます。(取材・文/末永由希)
M's(エムズ)
住所:中国北京市朝陽区曙光西里甲5号鳳凰城B2座406
(三元橋たもと中旅大廈向かい)
電話:(中国86)(北京地域番号010)8440ー5323
営業日:火曜日から金曜日(定休日:土、日、月) 午後1時ー午後6時
連絡先:佐藤さん (masamizu1125@yahoo.co.jp)
お店のHP: http://www.geocities.jp/ms_m_iz/
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