ヤリクン・ハズさんは、今年48歳です。天然パーマの髪の毛はいつも伸び放題です。長い間、野外での写生を続けているためか、みるからに体が丈夫そうです。ヤリクンさんが絵画を始めたのは、父親の影響を受けたからだそうです。幼いときから、ヤリクンさんは、よく父親の絵のモデルになり、餃子の皮を伸ばすのに使う麺棒を持ったり、絵画集を持ったりするなどのポーズを取らされていました。
では、クイズです。ウイグル族のヤリクン・ハズさんは、どういった芸術で新疆の民族文化を表現していますか。
1979年、ヤリクンさんは、西北民族大学の美術学部に入り、油絵を4年間専攻しました。ウイグル族が生まれつき備えている色彩への敏感さに、中国の水墨画などへの理解を加え、ヤリクンさんは、独自の方法と風格を作り上げました。絵を描くことについて、ヤリクンさんは、「絵画では、表現したいものを全部出さずに、含みを持たせたほうがいいと思います。そのために、画面の背景を大きめにしています。一枚の絵が、鑑賞する人に連想や憧れをもたらすなら、意義のある絵だと言えるでしょう。なぜ、一部の抽象的な作品が深い印象を与えてくれるのか、それは想像する空間を与えてくれるからだと思っています。創作する目的は鑑賞する人に絵に溶け込んでもらうことではないでしょうか」と語りました。
1986年、ヤリクンさんは、北京の美術展に、新疆の風情を描いた油絵を出品し、専門家から高く評価されました。そして、新疆で初めての芸術祭に8枚の作品を出品し、全部を香港中華芸術センターが買い取りました。このほか、ヤリクンさんは、中国美術家シルクロード調査団にも参加し、2万キロに上る道のりで、新疆の文化景観や歴史遺跡を詳しく視察して、歴史の長い新疆の文化をより深く理解することができました。作品「大バザール」は、スケールの大きい油絵です。バザールはウイグル語では市場の意味ですが、この作品には、その活気にあふれた様子が表現されています。黄土の色をベースにした画面は、広々としたゴビ砂漠と神秘的なローラン古城を連想させます。
絵画の力を磨くため、ヤリクンさんは、カザフスタンなどの中央アジアの国々やロシアへ行って研修したりしました。研修中、ロシアの芸術家たちが中国の伝統文化に興味をもっていることに気づきました。ヤリクンさんは、作品がウイグル族の優れた文化を表現できれば、永久の生命力を持つことを実感しました。「外国人が見たがっているのは、中国の持ち味のある絵です。油絵にしても、中国絵画にしても、一見して中国の絵だと分かるべきです。必ず中国らしいもの、民族らしいものを書かなければなりません。そうでないと、模倣したものと思われがちです。装飾と色彩の面でどんなに誇張しても、オリジナルのものさえあれば、認められます」とヤリクンさんは見ています。
留学から帰ったヤリクンさんは、普段の生活で起きる細々とした出来事を真剣に観察するようになりました。市場で野菜を買うときでも、人の表情の細かな変化を掴むため、その人の後について遠くまで行ってしまったこともありました。新疆西北部のパミール高原で暮らしている少数民族を描くため、ヤリクンさんは、標高5000メートル以上の雪山に上って、高山病に堪えながら、数千人を観察しました。
今、ヤリクンさんの作品は、「赤」を基調にしています。作品「亀茲の娘」は、全国的なコンクールで一等賞を受賞しました。「景色がいくら美しいものでも、芸術とは言えません。新疆の美しさを表現するときは、自然を描くだけではよくないと思います。作品はわれわれの心にある新疆を表すべきです。私の一部の作品の表現はあまりに直接的なので、これからはこれを乗り越えなければなりません」と、抱負を述べました。
ここ数年、ヤリクンさんは読書や野外スケッチを続けています。絵画の世界では、自由自在に表現できる理想的な境地を目指していると話しています。
ヤリクンさんの作品は、濃厚な新疆少数民族の風情があり、多くの賞を受賞しています。そして、日本、アメリカ、カザフスタン、トルクメニスタンなどの国々でも展示され、海外の愛好家にも買い取られています。
では、クイズを繰り返します。
ウイグル族のヤリクン・ハズさんは、どういった芸術で新疆の民族文化を表現していますか。
回答をお待ちしています。お便りは、郵便番号100040
中国国際放送局日本語部「新疆シリーズ」係までお寄せください。
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