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雲南名物の米線は、米からできた麺です。「過橋米線」は米線の豪華版と言えるものです。ほとんど、セットで出されます。まず、スープと具と麺が、それぞれの皿で出てきて、また、土鍋に沸騰したチキンスープが入っています。
その具は鶏のひき肉、豚のロース、レバー、魚の薄切りなど色々あって、値段によって、選びことができます。
スープの入った土鍋に、まず具を入れて、麺を後で入れて出来上がりです。
最もシンプルな「過橋米線」はスープ、肉の薄切りとビーフンでできたものです。そのスープは本格的な「過橋米線」の場合、鶏と豚骨などで煮込んだものです。ビーフンは白くて細く、日本の春雨に似て、弾力のある方がいいです。そして、各種野菜も欠かせないものです。
鳩の卵を生でスープに入れると、すぐ煮えて、半熟が食べごろです。
「過橋米線」の由来は昔の国家試験である「科挙」と関係があるそうです。雲南省の蒙自県郊外に南湖という静かで景色の美しい場所があります。その南湖の真ん中に島があって、石橋で外とつながっています。島にいくつかの部屋があって、それが勉強に格好の場所でした。ある受験生が勉強に熱中しすぎで、いつも冷めたご飯を食べていました。毎日ご飯を作る奥さんがこのような光景を見て、家で飼っていた肥えた鶏をさばいて、料理にして送ったのです。しかし、主人は忙しくて食べ忘れました。残念に思った奥さんは、家に持ち帰って、暖めようと思うと、鶏の肉やスープが入ったつぼがまだ暖かいのに気づきました。蓋を開けると、鶏の脂が保温の役割を果たしていたことが分かりました。しかも味見をすると、美味しさが増してした。そこで、この奥さんは、主人のために鶏スープにビーフンの料理を作るようになって、また、この作り方が口コミで広く知られるようになりました。主人へお弁当を送る時、いつも橋を渡るので、「過橋米線」と呼ばれるようになったということです。
主人への愛情のこもったお弁当ですから、美味しいはずです。
「金殿」での出会い
昆明は2400年もの歴史があります。こちらには歴史的な名所も数多く残っています。今日ご案内するのは銅で出来た建物です。
昆明の市内から8キロ離れた山、鳴鳳山の麓に、銅で造られた宮殿が立っています。この宮殿は清時代、17世紀の半ばごろ、雲南を統治していた平西王、呉三桂の命令で作られたものです。太陽の光に照らされ、銅製の宮殿は黄金のように輝いているので、「金殿」と呼ばれています。この宮殿は、窓や門などはもちろん、中に置かれている机やカーテンなども全部銅で作られたものです。高さ6.7メートル、重さ250トンもある「金殿」は、中国で規模の一番大きい銅製の建物とされています。
実は、昆明の金殿は最初、湖北省の武当山にある金殿の真似て作ったのですが、結局こちらの規模が大きいのです。そして、北京の頤和園の万寿山にも金殿がありますが、昆明の方の保存状態がいいそうです。
金殿の裏の方に五、六分間歩いたところに、三階建ての鐘楼が建っています。中には銅製の大きな鐘が掛けられています。その鐘は高さ3.5メートル、重さ14トン、雲南省で一番大きな鐘といわれています。お年よりの話では、昔は昆明市内まで響いたそうですよ。でも、今高層ビルなどどんどん増えていますから、そんなに届かないと思います。
ここで、50代の男性で昆明市民の王さんに出会いました。純粋な昆明の方言で金殿に対する気持ちを伝えてくれました。
「中学校の時、よく自転車にのって遊びに行きましたよ。歴史教科書に出ていた呉三桂という人物のことが知りたくて、この銅製の建物になんとなく好奇心を持っていました。金殿って、本当に奇妙なところですね。だって机やカーテンまで、全部銅で作られたのでしょう。そして、宮殿前には、昔は二、三メートルの長い刀(長刀(なぎなた))が掛かっています。それも銅製のものです。呉三桂はそれだけ重たい武器が持てるのかな、と当時は、すごく感心しました。もちろん、色々歴史物語もここで聞けるし、面白かったのですよ。」
でも、今の金殿は、歴史が長いだけの名所旧跡ではなくて、地元の人々にとって、もしろリゾート地としての存在感が高くなりました。
金殿が位置する鳴鳳山にやって来ました。細長い山道を歩いて、鳥の鳴き声があちらこちらから聞こえてきます。山道が突き当たったところに、目の前は緑一面の芝生が広がっています。バドミントンに興(きょう)じているカップルがいました。
さっきの王さんの話では、ここは森林浴に最適なところだそうです。
ここは木が多く植えられていますので、空気がとてもきれいです。しかも、交通が昔よりずっと便利になったし、30分ぐらいで気軽に来られます。ここは昆明の「天然酸素バー」と皆が呼んでいますよ。月には二、三回くらい家族と一緒にここで森林浴を楽しんでいます。
王さんと別れ、芝生で囲まれた林に歩き入ります。そのとき、かすかな音楽が聞こえてきました。誰かがアコーディオンを弾いています。昔、アコーディオンを稽古した私はなんとなく親しみを感じました。今の演奏はアマチュアっぽいですけど、気持ちのいい曲です。
近づいてみると、50代のやせた女性でした。彼女はちょっと斜めになって譜面を覗き込むように地面に座っていています。真面目に練習しているらしいのです。
「私は工場の労働者だったのですが、今は退職しています。アコーディオンは趣味なんですが、在職中はなかなか時間が取れなくて、今はやっと練習ができるようになりました。でも家で練習するのはうるさいから、ここにやって来ました。空気も環境も美しく気持ち良いです。」
生活と仕事のテンポが益々速くなっている現在では、時々大自然に帰って、気分転換することも大切ですね。リスナー方々、もしこれから雲南省に来るチャンスがあれば、ぜひ今日ご案内した金殿をお訪ねください。
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