街の日用雑貨店には、様々な品物に混じって、下着、靴下、ストッキングなど肌につけるものも一緒に売られています。そこには、靴の中敷きも必ず置かれていて、日常よく使われていることがわかります。
最近、新しく出たのは「靴の中敷き店」です。店の中で、靴の中敷きがぎっしり並べています。種類はいろいろで、木綿製、シルク製、刺繍入りの中敷きもあります。そして、刺繍の模様や文字によって、意味も異なります。例えば、「喜」の漢字の模様が入れている中敷き「結婚祝い」として、よく使われています。そして、「鶴」とか「竹」などの中敷きは、誕生日の祝いという意味があります。
一年を通して店にあるものは、厚手の木綿 の布を縫い合わせただけの簡単な中敷きです。冬には温かそうなウール製、夏には竹やいぐさで編んだ涼しげな中敷きも季節商品として並べられ、小さな生活の工夫が感じられます。
そして、医薬用の漢方中敷きもあります。布の間に漢方薬が詰めてあり、足のツボを刺激する突起がついたものなど、いろいろな種類があります。
中敷きはまた、かつては女性が家族や恋人や親しい友人に、心をこめて贈り物 にするものでもあったそうです。自ら細かな刺繍をした中敷きは、自分の思いと手先の器用さを、相手に同時に伝えることができたのです。
今ではこうした風習はすたれ、刺繍入りの中敷きは、次第に工芸品として売られています。
これほど種類のある中敷きを季節や用途ごとに選んで、取り替えればいかがでしょうか。靴にも体にもいい作用がありそうです。(撮影・文:オウギ)
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