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量販式KTV(北京市石景山路) | 北京の街を歩くと「麦楽迪KTV」や「美楽迪KTV」といった看板を良く見かけます。初めて見た時は、韓国の放送局の名前かと思っていたら、実は「Karaoke TV」の略称であることが判明。そして今や「量販式KTV」、量販式スーパーを備えたカラオケボックスの激しい競争が始まっていました。
北京に初めての「量販式KTV」が出来たのは2000年頃で、最初は北京一番の繁華街である朝陽区に出店が相次ぎました。しかし最近では、北京大学などの大学や大型電気店が集中している北京市西北部にある中関村南大街の大通り周辺に出店が相次ぎ、激しいサービス競争を繰り広げています。
「Ka拉OK」(Kaは、「上」と「下」という漢字を縦に合成した漢字)という言葉は、今も使われていますが、従来の「Ka拉OK庁」には、ホステスが付いて接客をする所が多かったために、「不健全な場所」というイメージがつきまとっていました。そこで新しい「量販式KTV」は、ホステスは置かず、安価な飲み物や食べ物が買える量販式スーパーを併設して、「健全で、しかも低料金の庶民的な娯楽施設」という経営方針を取ったことから、サラリーマンや若者たちに人気を呼び、家族ぐるみでカラオケを楽しむ人達も増えたということです。
「銭gui北京市朝陽区)
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モニタの字幕を見ながら歌ってる人
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パソコンでリクエスト
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朝陽区にある台湾系の量販式KTV「銭gui(金庫の意味。guiは、「木」偏に「巨」と言う漢字)」もその一つ。この店にはスーパーは併設されていませんが、それに変わる売り物が無料バイキングです。食事やデザート、それにアルコール類を除く飲み物は、食べ放題飲み放題。取材を終えた後、私も友人7人と一緒に中ぐらいの広さのボックスで2時間半、食べて飲んで歌いましたが、料金は一人58元という安さでした。日本のカラオケボックスより高級感があり、リクエスト曲を選んだり入力したりするパソコンを備えている他、大人数でパーティーが開ける大きな部屋もあります。
売り物は無料バイキング
このカラオケ業界にも大きな影響を与えそうな出来事が、最近ありました。中央政府が「娯楽場所管理条例」を制定し、3月1日からカラオケ店やディスコ、それにゲームセンターなどの娯楽施設に対する規制を強めたのです。これらの施設では、夜中の2時から早朝の8時までは営業をしていけないこと、また18歳未満の未成年はこうした施設を利用してはいけないことになりました。
これまで「量販式KTV」店では、24時間営業をしている店も多く、また高校生の利用も増えつつあった所ですが、この新たな規制について、ある「量販式KTV」では、未成年者はこれまで利用客の5%にも達していなかったので、大きな影響はないと話していました。新たな規制によって娯楽施設業界はどう変わっていくのでしょうか。(撮影・文:中村 治)
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