「温家宝首相の訪日は、本当に予想以上の成功だった」
これは、(1)外務省の劉建超報道官が4月17日、当放送局で話した感想です。局の各言語部の責任者が毎朝集まって一日の報道内容などについて討議する(2)会議室で、この日の午後、劉建超報道官は、「世界情勢と対外報道」というテーマで講演をしました。会議室にある約200の座席は一杯になり、約50の臨時の席が追加されましたが、それでも一番後ろでは多くの人が立ったまま講演を聴き終わったのです。
さて、劉報道官が世界情勢について行った講演は、温家宝首相の訪日からはじまり、訪日の状況の紹介などの(3)エピソードを交えながら1時間以上も続きました。
「(4)日本の庶民の熱意から、私は友好の力を強く感じました」と、劉報道官は、今回の首相訪日に随行したときに見たこと、感じたことを細かく紹介してくれました。
「東京だけでなく、京都でも、温首相は日本の市民から熱く迎えられ、それはとても気持ちのいいものでした。特に、一人の年配の女性の笑顔は本当に明るくて、真心がこもっていて、それは今でもまぶたに焼き付いています」
劉報道官はメガネを直しながらこう話したあと、「中国と日本の人の心は、実は通じ合っているんですよ」とゆっくりした口調で放送局のスタッフたちに話しかけるように言いました。
そして、一緒に仕事をした日本側の事務担当者たちが使っている連絡ノートの紙が特別なことに気づいたと話しました。その紙は、(5)再生紙よりも安いもので、新聞紙より薄く自分が小学生の時に使った粗末なノート用紙のようで、特殊なコピー機でも使って(6)コピーしたのかと不思議に思うぐらいだったと紹介しました。「あんなに進んでいる日本でも、それほど徹底的に節約していますよ。ほら、今私が使っているのは、こんなに厚くて高いものを平気で使っています。(7)途上国なのに贅沢しすぎですよ。中国は日本に学ぶべきところがまだまだ一杯あります」と、劉報道官は、真っ白なプリント紙を振りながら(8)感無量の様子で話しました。
さらに、話の中で、「日本側は本当にきめ細かな手配をしてくれて、今でも感心しています」と、たびたび口にしました。大学生との野球トレーニングが例として挙げられました。温首相が入場するとき、スピーカーから、「ただいまから日本と中国の野球試合が始まります。中国の選手の背番号は35です」と聞いたときは、どうして35かなと、ちらっと思ったそうですが、後で同僚から、「今年は両国の国交樹立35周年だから」と注意されて、初めて気づいたということです。
また、およそ50時間の間に、天皇会見、国会演説、首相や各政党団体との会談などを含めた30回の活動というハードスケジュールながら、移動などはすべて順調で完璧であり、事務担当の人々は(9)礼儀正しくて一度も不愉快な思いをしたことがなかったと感心していました。これは相当なもので、自分がいままで経験した中では最高のものだった、日本の人々のまじめさや細かいところまで追求する精神に感服したと、本音を隠さない様子でした。
温首相が日本の国会で行った演説はこちらでもテレビ中継されました。劉報道官が語る(10)「氷を融かす旅」を聞いて、温首相の演説に国会議事堂で鳴り響いた11回の拍手が、よりいっそう響いて聞こえたような気がしました。
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