今年の干支は日本ではイノシシですが、中国ではブタ年です。その干支を詳しく言うと、「丁亥ブタ年」で、五行から見れば「火のブタ年」であることから、「丁亥火のブタ年」と言うべきですが、民間では、(1)「丁亥金のブタ年」と呼んでいます。60年に一回しか訪れない「丁亥金のブタ年」は(2)「財産、幸運」などをもたらしてくれるめでたい年とされています。ですから、「丁亥金のブタ」となる今年は、並みの年ではなく、「万事都合よく運ばれる」と、大変良い年とされています。特に、この年に生まれる子供は(3)「金のブタベビー」と呼ばれ、経済的に困ることなく幸運に恵まれると言い伝えられています。「丁亥金のブタ年」の2007年、中国では、すでに金のブタの(4)ベビーラッシュが始まっています。
その様子は、全国で旧暦のお正月からすごい勢いで押し寄せています。北京市内を例に見ますと、春節期間中に、(5)診療を受けた人の80%は産科で、普段の倍という急増ぶりです。中には、春節期間中に(6)帝王切開で早めに出産したケースもありました。北京市内の大きな産科病院では、今年6月までの半年の間で(7)出産予定日の申し込みをした人は、月に1000人を超える規模となり、普通より200人上回っています。また、ある有名な病院では、今まで月におよそ150人の新生児が誕生していますが、お正月の2週間だけですでに568人が生まれています。この押し寄せるベビーラッシュに対応するため、多くの産科では、2人用の病室を3人に、オフィスを病室に、手術の時間帯を(8)フルタイムにしたりしています。
このほか、新生児に関する産業も盛んになっています。ミルク、(9)新生児服から、(10)オレツ、ベッド、ベビーカー、入浴剤、そして写真館など、多くが好景気です。この先2年後の入園、6年後の入学、18年後大学入試、22年後の就職、60年後の定年など、これらの子供の成長に伴い、いろいろなブームが起きることを思い浮かばせます。
今年は、「丁亥火のブタ年」ですが、これが「金のブタ」と名づけられたのは、後のことでした。それは唐が最盛期を迎えた貞観元年つまり627年だそうです。その背景には、これまで乱れていた通貨が「銖」に統一されたことがありました。この「銖」によって、唐は莫大な富を蓄積でき、最盛期の「貞観」に導きました。ですから、貞観元年には、「金銖年」と別名がつけられました。この年は、ちょうど「丁亥火のブタ年」でした。中国語の発音から見て、「銖」と「ブタ」は同じことから、「丁亥金のブタ年」と呼ばれるようになりました。偶然にも、歴史上、この「丁亥金のブタ年」には多くのめでたいことが起きました。たとえば、紀元前94年漢の昭帝が生まれ、147年東漢の桓帝が即位、207年劉備が諸葛亮を招聘など、重大なできことがありました。今年で23回目を迎える「丁亥金ブタ年」は、呼び始めたと年から1380年もの長い時が経ちました。でも、民間では「めでたいことが訪れる」という思いは根強く、薄れる兆しは微塵も見えないようです。 (文:朱丹陽)
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