バスや地下鉄の(1)車内アナウンスや(2)電話案内などには、音声再生技術が使われています。私は、これらの音声は、アナウンサーなどが事前に録音したものを、ただ単に再生しているのだと思っていました。しかし、最近では、肉声ではなく、コンピューターで合成した、いわゆる(3)「人工の声」を使用することが可能になっているのだそうです。
4月2日、合肥市内にある「訊飛」というソフトウェア会社を取材しました。社員の方によると、この「人工の声」を応用した技術は、すでに身近なところで幅広く使われているのだそうです。例えば、おもちゃやゲーム、携帯電話などです。この「人工の声」はデジタルなので音質が良いだけではなく、(4)ソフトウェアを使ったさまざまな加工が可能です。たとえば、大人の声を赤ちゃんの声にしたり、男性の声を女性の声にしたり、若物の声をお年寄りの声にしたり・・・さらに、最新技術では、標準中国語を方言に変換することもできるのだそうです。
また、「訊飛」の各種音声ソフトは、さまざまな場面で実用化されています。たとえば、中国では、(5)公務員試験の際、標準中国語能力試験が行われるのですが、この発音審査で「訊飛」のソフトが採用されているのだとか。ちなみに、このソフト、人間が審査するより(6)厳密で公正に評価が可能なのだそうです。また、2008年北京オリンピックに向けて、中国語を英語に直すソフトの開発・研究も急ピッチで進められています。このソフトは、各競技場をはじめ、空港やレストランなどでの活用が検討されています。
さらに、もうひとつ面白い技術研究が行われています。それは、文字原稿を音声化する技術です。つまり、書かれた文章をコンピューターが識別して、しゃべってくれるのです。これが実現すれば、目の不自由な人も、雑誌や新聞などの記事を気軽に耳で聞くことができますし、運転中で手が離せないときなども便利です。インターネットの普及に伴い、この分野の市場は大きいと、研究担当者は話していました。
ここで、取材に同行していた放送局関係者がポツリ。「いやー、これはいいなあ!この研究が実用化すれば、我々のラジオ局でも採用させてもらおうかなあ」
ドキッ。アナウンサーの私としては、耳の痛いひとこと!だって、この音声化ソフトが開発されたら、コンピューター君はどんなに難しい原稿でも(たとえば、全国人民代表大会や政治協商会議関連のニュース原稿でも)、ソツなくサラリと読みこなしてしまうのだろうし。さらに、中国語から外国語への変換技術も開発中ということですから、万が一、日本語ソフトが開発された日には、私たち日本語部アナウンサーも存続の(7)危機?!
こうした技術開発は、どこまで進むのでしょうか。(8)飛躍的に発展する最先端技術に触れ、深く関心しつつも、個人的にヒヤヒヤしてしまいました。(文 朱丹陽)
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