中国では季節の移り変わりに従って、折々の花を材料にした料理、お菓子、飲み物があります。
まず、3月に入ると、「黄花菜料理」(1)を食べます。「黄花菜(エゾキスゲ)」はユリ科植物の一種、「黄花菜料理」はエゾキスゲを使った料理です。毎年3月ごろ、そのつぼみが市場に出回り、煮物・炒め物・スープの材料として使われます。干したものは中華料理の材料として欠かせないものとなっています。
4月ごろ、「藤餅」という餅(2)があります。満開直前の藤の花を摘み取り、お砂糖につけたものを、小麦粉で包んだお菓子のことです。伝統あるお菓子ですが、手間がかかることから、老舗もほとんど作らなくなっています。今でも注文があれば作るのは、山西料理で有名な北京の「晋陽飯荘」ぐらいとなっています。
夏に入ると、「バラの餅」(3)というお菓子があります。まずバラの花を塩漬けしてアクを取ります。それから細かく切ってお砂糖に漬け、直径3センチぐらいの円形のお菓子の餡として使います。表に赤い「」という印が押されているのが特徴です。スーパーで買えるくらい、市民の生活に根付いています。
このほか、「バラのジャム」(4)があります。バラの花をまず塩漬けしてアクを取ってから、砂糖漬けにしたジャムです。バラの香りを生かして、饅頭(5)の餡に少し入れたり、蒸しパンにつけたりして食べます。
10月ごろは、「金木犀のジャム」(6)があります。金木犀の花を砂糖漬けしたものです。南方の食べ物で、パンにつけたり、おかゆに入れたりして食べます。
また、秋の花の旬のものとしては、「韮の花の漬物」(7)があります。秋になると、市場で白い韮の花を買って、塩につけるだけで出来る漬物です。主に北方で親しまれており、冬の季節に餃子やしゃぶしゃぶのたれの中に入れたりして食べます。スーパーでも瓶詰めにして売られています
このほか、飲み物には「菊のお茶」(8)があります。お茶にするのは、小さい型の菊に限定されていますが、新陳代謝を促進する作用が認められています。よく氷砂糖を入れて飲みます。解毒作用のほか、眼や肝臓にも良いことから、ここ数年ブームとなっています。
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