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涙の2006年サッカーワールドカップ
   2006-07-13 16:55:56    cri

 第18回サッカーワールドカップ(1)が終わって、一週間経とうとしていますが、その一ヶ月の間に見た涙の場面はまだ時折思い浮かんできます。

 グループ予戦(2)のBグループで、パラグアイ対イングランド戦で、パラグアイはオウンゴール(3)一つで敗れてしまいました。今大会の初めてのオウンゴールだけに、残念なことでした。また、オウンゴールをしてしまったチームリーダーは実は今大会の後引退(4)することを表明していました。こんな思いで引退するなんて考えるだけでもむなしくなります。

 そして、ポルトガルは、準々決勝戦(5)で、イギリスを破って準決勝(6)まで順調に進みました。選手たちは40年ぶりの好成績を上げたこの勢いで頂点まで到達したかったに違いありません。34歳になり、すでに引退を表明していたリーダーのフィーゴ選手にとっても、今回が最後の大会になります。しかし、フランスとの戦いで、優勝(7)への夢ははじけてしまいました。試合終了後、フィーゴ選手は10年間もライバルとして付き合ってきたフランスのジダン(8)選手と抱き合い、ユニフォームを交換していました。そしてスタジアムに別れを告げるフィーゴ選手の後ろ姿をみて、私は涙が出るような気持ちになりました。

 フィーゴ選手と同じ34歳のフランスのジダン選手は準準決勝では、「もう年だな」(9)と言われるほど、精彩がありませんでしたが、肝心なときに力を発揮して、チームを決勝戦(10)まで導き、「亀の甲より年の功」(11)だと、サポーターたちを感服させました。後一歩であの金のトロフィー(12)を手にしたにも関わらず、イタリア(13)との決勝戦で反則で退場させられました。チャンピオンチームを待っているトロフィーの前を通っていくジダン選手の姿を見て、胸に迫るものがありました。こんな形で引退することを本人はどう思っているのでしょうか。こんな形で終わることを想像できたでしょうか。

 また、決勝トーナメント(14)進出を果たせなかった日本チームの中田英寿選手も引退することになりました。私は、「神様は、なぜ、苦労して長い間頑張ってきた人たちに、納得のできる有終の美を飾らせてあげないのか」と、悔しく思わずにはいられませんでした。

 でも、今回のワールドカップ大会で流した涙は悲しみのものだけではありませんでした。ウクライナ(15)の選手たちの頑張りに流した涙は別のものでした。ウクライナは独立してから初めてワールドカップに出場しましたが、スイスを破って準準決勝まで突き進みました。国内では、国歌がいたるところで響き渡りました。このように国民の気持ちが一つになることは、政治家たちが15年かけても実現できなかったのです。東部のロシア人や西部のウクライナ人という人種問題、「オレンジ」と「ブルー」の両陣営に別れる政治問題など、いろいろ悩みを抱えてきたこの若い国は、これで、やっと民族の結束、国の統一という実感を掴んだのです。ユーシェンコ大統領は「あなたたちは民族の英雄だ」と、ウクライナの選手たちを称えました。準決勝進出はできなかったものの、彼らの笑顔からは、これ以上ない爽やかさが感じられました。

 四年に一度のサッカーワールドカップ、その一ヶ月の大会期間中、世界中の人々は普段はなかなか体験できない喜怒哀楽(16)を感じたことでしょう。しかし、世界の人々が今回の大会で流した涙には、どうも今までと違うものが混ざっていたようです。

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