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近代的通信が語る日常生活の物語
   2006-06-01 16:18:33    cri

 2年前に、仕事のため仕方なく携帯電話(1)を使い始めた私は、このような近代的な通信手段に少し抵抗感を持っています。ですから、今だにパソコン(2)でチャットをしたこともなければ、MSNを利用したこともありません。でも、最近、ある二つの出来事で、こうした近代的な通信手段を見直すようになりました。

 1つはラジオで聞いた、実際にあった話です。サラリーマンAさんがある朝会社に着いた途端、携帯電話が鳴りました(3)。急いで出ると(4)、ぜんぜん知らない男性の抑えた声が、「あなたは何々さんですか」と聞きました。不思議に思ったAさんが「はい」と答え、「どなたですか」と聞きかえす暇もなく、向こうは急ぐ口調で話を続けます。「今、廊下で(5)男性のお年寄り(6)が倒れて、意識不明になっています(7)。彼のポケットにあった紙にこの番号が書かれていましたので」と言い、今いる場所を教えたのです。Aさんは、びっくりして、一瞬戸惑った後、それは自宅のマンションの住所だと気づき、そのお年寄りは奥さんのお父さん・義理の父のことだとすぐ分かりました。というのは、義理の父(8)は血圧が高いため、ポケットの中に薬を入れてもらっているほか、自分と妻(9)の携帯電話番号が書かれた紙もついでに入れてもらっているからです。Aさんは会社を休もうと思いましたが、その時、携帯がまたなりました。またさっきの男性からの連絡でした。「急がなくて大丈夫ですよ。お年寄りのポケットにある薬を飲ませたら、意識が回復しましたから」と言って、電話が切れました(10)。これを聞いたAさんは急いで会社を出て自宅へ向かおうとしました。このとき、またこの人から電話が掛かってきて、「お父さんはもう大丈夫ですよ。奥さん(11)がすぐ駆けつけてきたし、救急車(12)で病院に運ばれ、手当てを受けていますよ。安心してください」と、教えてくれたのです。

 私はラジオを聞きながら、もしかしたらこれも振込め詐欺の電話(13)じゃないかと、ハラハラしていましたが、このような展開になるとは思いませんでした。椅子にじっと座ったまま、暫くは頭が空っぽになった感じでした。携帯電話の向こうから伝わった見知らぬ人の思いやり(14)は私の胸にじんと来るものでした。

 もう1つは、私がバスの中で聞いた話です。ある朝、出勤のバスで、私の後ろに立った二人の女性がおしゃべりを始めました。私は何気なくその話に耳を傾けました。二人の女性とも最近定年退職し、久しぶりに会った友人同士のようです。定年後、一人の女性は老人大学へ行って、絵画を習ったりして新しい友人が出来たと話します。もう一人の女性というと、マージャン(15)などの娯楽を楽しんでいましたが、最近はネットにはまっているとのことです。というのは、ニュースなどチェックしたり、MSNで娘といつもやり取りしたりできるからだそうです。娘さんは結婚して独立したため、この女性は一人暮らしをしているようです。娘さんが朝出勤するときや夜家に戻ったときは、必ずMSNで連絡してくれるから、とても安心できると落ち着いた口調で話していました。また、「その時間帯に娘から連絡が来ないと、そわそわして落ち着かなくなってしまう(16)」と、軽いため息を漏らしました。「この間も、『お母さん、仕事で銀行にお金を下ろしに行くから、一緒に行ってくれないか』と娘からMSNで連絡が来たから、早速行って上げたわよ」と、何気なく話していました。

 これを聞いて私は思わず振り返ってこの女性を見ました。化粧をせず、髪の毛を簡単に後ろでまとめ、タータンチェックのシャツ(17)を着る、ごく普通の女性でした。MSNを通してお母さんと嫁いだ娘さんが頼りあい、助け合っている様子は今でも大きく私の頭に浮かんできます。

エッセイ
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