アメリカ発の金融危機に対して、中国はどのような対応をとればよいのでしょうか、中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任は、「中国はアメリカの金融救済に控えめに参加べきだ」と主張しています。北京のローカル紙「新京報」が伝えました。
アメリカ発の金融危機が世界中に広がる中、「2兆ドルの外貨準備高を持つ中国が金融救済に参加すべきだ」という声が聞かれています。これに対して、郭田勇主任は、「中国はアメリカの金融救済に控えめに参加すべきだ」と指摘しました。
世界経済がグローバル化している中、アメリカのような経済大国が金融危機に陥れば、その影響はほかの経済体にも波及します。国際社会が協力して金融救済を行わないと、予想できないほどの悪影響を受けるに違いありません。中国にとって米国は極めて重要な市場で、最近多くの中国輸出企業が赤字になったり、倒産したりしたことは、米国の消費者の購買力低下が関係しています。これを考えれば、中国が輸出企業を助けるために、米国の金融救済に参加する必要はあるでしょう。
ところで、中国は米国の国債と機構債を大量に所持しています。控えめに見積もっても、1兆ドルを超えているようです。中国や日本をはじめとする国際社会が資金面で協力しなければ、FRB (米国連邦準備制度理事会)がドルを増発する可能性が高くなり、インフレを激化させ、ドルの切り下げを招いてしまうかもしれません。これは中国にも不利なことです。
しかし、中国は、米国の金融救済に参加する能力をいったいどれぐらい持っているのでしょうか。国内の経済状況が厳しいことから、中国は、国内企業のための対応策を先に講じるはずです。また、中国の外貨準備高は多いですが、そのうちの1.2兆ドルを米国市場に投資しており、6000億ドルを国際収支の短期的なアンバランス状態に対応するための予備金としています。使用可能な資金は2000億ドルしかありません。この数字から見れば、中国が金融救済に参加する能力には限りがあり、米国に大規模な資金援助を提供することは無理でしょう。ですから、控えめに参加するしか仕方はありません。
これらの課題を根本的に解決するには、米国政府は、海外に流出しつつある個人資本を再び米国に戻すため、強硬な米ドル政策を復活させなければなりません。そうすれば、サブプライムローン問題をはじめとする金融危機を緩和できるでしょう。
それと同時に、中国らしい経済成長を維持するために、人民元の値上げを一時停止する必要があります。
中国の立場から見れば、米国債を購入することだけが金融救済の手段ではありません。中国の大手企業は日本の金融機構を見習い、米金融企業の株または資産を一部購入してもかまわないでしょう。しかし、明確な投資戦略が必要で、買い叩くためという考え方は不適切です。そのほか、中国が持っている海外債券を使って、米国が所持している中国系企業の株を買い戻してもいいでしょう。こうすれば、中国駐在の米国企業の財産権を買い取ることができます。これは米国にだけでなく、中国の発展にも役立つでしょう。(翻訳:KH)
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