四川大地震の救援活動経験をもとに、中国は今「地震防災対策法」の修正に着手しています。
修正案は、立法機関である全国人民代表大会常務委員会に提出・審議されることになりました。この修正案に基づいて中国は地震災害防止システムと救援物資の監督管理を強化します。
「地震防災対策法」が実施されてから10年の間に、いろいろ不備が生じるようになりました。そこで中国では3年前から、この法律の修正をはじめ、修正案も今年5月に国務院に提出し、6月には審議される計画でした。しかし、5月12に発生した四川大地震によって延期されました。今回の修正案では四川大地震の救援活動で見られた問題を総括し、被災地の再建活動を行う上での成功経験などが盛り込まれています。
中国地震局の陳建民局長は今回の修正の目的について、「災害救援活動の経験を総括した上で、新しい情勢に適応していない法律制度を修正したり、成功経験をまとめたり、四川大地震における有益な経験を制度化したりするのが、今回の目的である」と語っています。
今回の修正案で、最も注目される点が三つあります。
一つ目は、学校や病院など建築物の耐震構造に対する要求です。四川大地震で、一部の学校や病院が倒壊したことで、数多くの人が亡くなりました。そのため、修正案草案では学校や病院の耐震設計を一般建築物より強化すること、竣工したものの耐震設計が基準に達していない場合、補強措置を講じること、農村住民の住宅の耐震レベルを高めることなどが明記されています。このほか、学校で防災訓練を行うことが義務付けられています。
二つ目は、被災地住民の避難問題についての記載です。草案では、「被災地住民を避難させる場合、住民の要望を尊重しなければならない」と明記されているほか、震災後の復旧活動や被災地住民の心理ケアなどについて、詳しく規定されています。
これについて、陳建民局長は「被災地住民の生活をケアすることは、人心を安定させ、社会秩序を維持することにつながる。この活動を規範化するため、今回は四川大地震の経験をまとめ、避難場所の選定、政府が果たすべき役割および復旧活動の展開などについて詳しく規定している」と述べています。
三つ目は、救援物資の使用における明確な規定です。救援物資の使用状況は社会からの関心が高い問題です。救援物資の使用状況を社会に公開するため、修正案草案では救援物資の調達や配分、使用などについてそれぞれ保存書類を作ることが明記されている上、「救援物資を不法に占用したり、無断で使用したりした場合は厳しく処罰する」としています。
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