アメリカのブッシュ大統領は現地時間14日、優先株の購入による金融機関への資本注入で2500億ドルの公的資金を投入すると発表しました。
投入された2500億ドルは今月3日に成立した金融安定化法の7000億ドルから拠出されます。
今回の資金注入を受け入れたのはシティグループ、ウェルズ・ファーゴなど大手金融機関9行(こう)です。
世論は「アメリカ政府の救済策は金融安定化に向けた断固とした行動であり、限定的で暫定的な効果があるものの、事態収拾までには時間がかかる」としています。
アメリカのサブプライムローン破たんによる信用不安が世界に拡大しています。
これに対応するため、アメリカ政府は最大7000億ドルの金融安定化法を打ち出しました。
ブッシュ大統領は「資本注入は短期的な手段として極めて重要だ。企業や個人への融資を促進できる」と述べました。
ポールソン財務長官は8日、「議会で採択された7000億ドルの金融安定化法は政府に金融機関への資本注入の権限を付与した。必要な場合は国有化の実施も可能である。EUでは一部金融機関の国有化を決定した」と述べました。
金融アナリストは「国有化による金融安定化策は市場に大きな効果がある。また、金融株の直接購入は金融市場の圧力緩和に有利である。アメリカ第4位の証券会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで、信用不安が蔓延し、ドルの流動性が逼迫化(ひっぱくか)している。システミックなダメージを受けた金融市場では、銀行間の信用が収縮し、貸(か)し渋(しぶ)りの状態となっている」と見ています。
金融アナリストはまた「今回の金融危機は1929年の金融恐慌(きょうこう)に匹敵(ひってき)し、信用と信頼をともに欠如(けつじょ)している金融不安が短期間で解決されることは不可能である」と見ています。
FRB・連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は「市場回復までには、さらに一連の措置が必要である」とし、ポールソン財務長官も「いかなる救済策であろうとも、効果が出るまでには時間がかかる」と語りました。(ジョウ)
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