欧州中央銀行(ECB)、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行、およびスイス、カナダ、スウェーデンの中央銀行は8日、主要政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げて、4.25%から3.75%とする緊急協調利下げを実施しました。
これはアメリカ発端(ほったん)の金融危機に対応し、市場の予想よりも早い段階での措置であると見られています。
欧州中央銀行の声明は「金融危機は深刻化しつつあり、ユーロ圏経済成長の下振れリスクが高まり、物価安定への上方リスクは一段と弱まった」とし、各中央銀行の共同声明も「世界的な金融不安を収拾するために、協調利下げに踏み切った」としました。
フランスのサルコジ大統領は「協調利下げはユーロ圏景気の回復に有利する」とし、ドイツのグロス経済相は「利下げは金融安定への正しい一歩である」と述べました。
欧州経営者連盟のセリエール会長は「金融危機と景気後退の中、協調利下げはプラスのシグナルである」と述べました。
今年以来、原油と食糧の高騰に伴い、ユーロ圏のインフレ率が向上し、6月と7月の2カ月で4%に高まりました。
これに対応して欧州中央銀行は7月、ユーロ圏の主要政策金利である短期買いオペ金利を4%から4.25%に引き上げると発表しました。
しかし、インフレ対応の利上げは投資と消費を抑制し、ユーロ圏経済は第2・四半期に初のマイナス成長となりました。
世界通貨基金(IMF)は8日、最新の世界経済見通しを発表し、「来年のドイツ経済はゼロ成長で、イギリス、スペイン、イタリアの3カ国はいずれもマイナス成長となる」と、ユーロ圏成長を下方修正しました。
8日、各中央銀行の協調利下げにもかかわらず、世界の株価は急落を続けていました。
市場では「協調利下げの効果は限定的で、根本的な解決策が見出(みいだ)されず、悲観的な見方は短期間で好転されない」と見ています。(ジョウ)
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