1997年7月、タイを中心にアジア金融危機が勃発して、世界の資本市場を揺さぶりました。
急速な資本流出により、アジアの地域経済は大きな打撃を受けました。
10年を経た現在、アジア経済は高度成長を回復し、成長の牽引力も多様化しています。
世界銀行タイ駐在事務所のリードエコノミストカジ・マティン(kazi M. Matin)氏は10年前の危機を振り返って「監視・管理不足が要因であった」と指摘しました。
マティン氏は「短期資本が大量に流入し、借款資金の実際の流動と用途について、金融機関は監視を緩めた。そして突然、資本の流入がストップし、投資家らは疑問を抱き、大規模な資本逃避が始まった。これらの資本はもともと、生産や建設の分野に投入されていなかった」と述べました。
この時の中国の対応についてマティン氏は「中国は東南アジア諸国を支援した。周辺諸国の通貨が切り下げを続けたにもかかわらず、人民元は相場を維持した。これは域内の金融の安全を確保する上で大きな役割を発揮した。それ以降、中国の経済成長も周辺諸国の金融の回復に有利に働き、中国の経済・貿易力が増したことは周辺諸国に有益であった」と述べました。
10年前のアジア金融危機はタイを中心に勃発し、アジア全域に拡大しただけでなく、ロシア、ブラジルなどの国も影響を受けました。
10年後の現在、経済のグローバル化が大きく進んでおり、金融危機が発生すれば、影響は更に拡大するだろうと見られています。
これについて、マティン・リードエコノミストは「経済の未来を決定する上で資本の投資先をどのように選ぶかはカギである。資本を効果的に投入することが出来れば、利益は多くなる。これは東南アジア諸国が金融危機から学ぶべきことである」と述べました。
マティン氏はまた、「金融への監視管理を強化し、一般投資家への管理を強めると共に、更に大切なのは短期借款への警戒である」と明らかにしました。
ここ数年、アジア経済は高度成長を取り戻し、10年前に比べて、成長の牽引力は多様化しました。
マティン氏は「東南アジアの経済は良く回復した。準備金を慎重に蓄積し、資本をインフラ分野へ誘導し、輸出を促進し、金融機関への監視管理を強化し、問題点を把握するなど、金融の安全を確保する上で大きく前進した」と評価しました。
東南アジア諸国が直面している問題についてマティン氏は「低所得国から中所得国への前進に比べると、高所得国への進行は一層難しく、より多くの創意工夫が必要である。都市化問題で東アジアにとって効果的な都市化をいかに実現するかを検討すべきである。管理の問題では今後、世界銀行は知識と交流の場を提供し、低所得国への財政支援を行い、公共の福祉の改善を促進していく」と明言しました。 (ジョウ)
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