アメリカ国務省のマコーマック報道官は11日、朝鮮との間で核開発計画の検証問題について合意に達したとして、朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除したと発表しました。これには、ブッシュ政権が任期中に朝鮮核問題で成果を得て、成果がよくない外交に得点を加えようとする狙いがあるといわれています。
アメリカ国務省のマコーマック報道官によりますと、朝鮮との合意に基づき、ライス国務長官は11日、朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除するための文書に署名したということです。今月初め、朝鮮を訪問したヒル国務次官補が朝鮮側と合意した内容により、6カ国協議の全ての関係国が検証作業に加わることができるほか、専門家は、アメリカと朝鮮の了承を得れば朝鮮が申告していない核施設に立ち入り調査を行うことができます。また、朝鮮は核施設の無能力化を再開することに同意したということです。
実は、アメリカは、朝鮮をテロ支援国家の指定から解除するまで曲折した道のりを歩んできました。今年6月26日、朝鮮が核開発計画に関する申告書を提出したのに合わせ、ブッシュ大統領は、45日以内に朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除すると発表しました。しかし、朝鮮がテロ指定の解除で前提となる検証に反対したため、45日過ぎた8月11日、アメリカは、検証体制が確立されるまで解除しないと発表しました。これに対して、朝鮮は寧辺の核施設の無能力化を停止し、核施設を再開すると表明しました。
これを受けて6カ国協議でアメリカの首席代表を務めるヒル国務次官補は10月1日、朝鮮を訪れました。ヒル次官補は、朝鮮に検証を受け入れてもらうため、ウラン濃縮や核拡散問題を見送り、まずプルトニウムと寧辺の核施設に対して検証を行うことで朝鮮と合意しました。
朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除したことについて、アメリカ国務省の高官は、アメリカの利益に沿うことだとした上で、朝鮮が申告していない施設に対する検証と標本採取の自由という2つの原則を守った上での譲歩だと述べました。一方、アメリカ政府の内部では反対の声も上がっています。共和党の大統領候補のマケイン上院議員は、朝鮮が全面的な検証を受けなければ解除を支持しないと述べました。
ところで、今回の指定解除について、ブッシュ政権が外交面で成果を得ようとする狙いがあるといわれています。ブッシュ政権はこれまで外交政策で問題が相次いできましたが、唯一、朝鮮核問題だけ成果をあげています。したがってブッシュ大統領は、この問題でさらに進展を遂げ、11月に行われる大統領選挙までに自分と共和党に外交遺産を残そうとする意欲があると見られています。(翻訳:鵬)
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