IAEA・国際原子力機関は、9日、ウィーンでの特別理事会で、「朝鮮のニョンビョンにある核施設の閉鎖に関して、特別査察員を派遣する」と発表しました。
9日に行われたIAEAの特別理事会の後、エルバラダイ事務局長は、朝鮮が検査を再度受けることを歓迎し、「IAEAは朝鮮と、ニョンビョンにある4つの核施設の完全な閉鎖で一致した。閉鎖のプロセスはすでに始まっている」と語りました。しかし、朝鮮側からの正式な招請を得て初めてニョンビョン入りできることから、具体的なスケジュールは、まだ決まっていません。これを受けて、エルバラダイ事務局長は、1週間か2週間以内をめどにするよう要望をだしました。一方、韓国の聯合ニュースによりますと、8人からなるIAEAの査察チームは14日、もしくは17日に朝鮮入りすると報道しました。
朝鮮核問題は、1990年代から大きな問題となっています。きっかけは、アメリカが衛星によって、朝鮮が核兵器を研究開発していることを突き止めたのに対し、朝鮮側は核兵器を開発する力を持っていないと主張したことです。これで、朝鮮半島における最初の核危機が勃発したわけです。2003年、朝鮮は『核不拡散条約』の脱退を宣言しました。これで、朝鮮核問題が再び国際問題となりました。今年2月13日、第5回六カ国協議で、『共同声明の実施のための初期段階の措置』という共同文書が採択されています。この共同文書は、朝鮮問題解決の過程における一里塚的な文書で、初めて各側の行動スケジュールを策定しました。また、共同文書では、朝鮮側が核放棄を最終目標にし、ニョンビョンにある核施設を閉鎖することを約束し、一方、他の国は朝鮮に経済、エネルギー、人道主義に基づいた援助を提供すると決めました。
IAEAのハイノネン事務次長が6月26日から30日にかけて朝鮮を訪問している間に、朝鮮側が『2・13共同文書』を実行する意思を表明し、閉鎖する核施設のリストを提供して、IAEAの査察員による査察を受けることに合意しました。この状況のもとで、ハイノネン事務次長は、3日、IAEAに対し、朝鮮の姿勢は評価できるとの報告をしました。
一部の専門家は、朝鮮核問題が積極的な方向に向け、進展していると考えています。朝鮮は、『2・13共同文書』の調印をきっかけに、韓国、アメリカ、日本の3ヶ国との国交改善を試みています。3月から、朝鮮は、この3ヶ国と国交正常化に向けて会談を始めました。6月25日、朝鮮は、海外銀行における資金凍結が解除されれば、『2・13共同文書』を履行すると表明しました。アメリカはそれに対して、即座に歓迎の意を表しました。また、6日、朝鮮は、重油の支援が得られれば、直ちにニョンビョンにある核施設を封鎖すると明らかにしました。
しかし、その一方で、ある専門家は、朝鮮半島の非核化プロセスはすでに破たんしており、朝鮮問題は実質的に核拡散問題になっているとし、問題の解決には、「核の廃棄」と北朝鮮の「安全保証」の"交換"しかないと指摘しています。しかし、『2・13共同文書』では、一連の核放棄の条件が決められているものの、条件すべてを満たすことは、とても容易なことではなりません。よって、朝鮮核問題の解決までの道のりはまだまだ遠いといえます。(翻訳:李軼豪)
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