今月20日、イスラマバードのマリオットホテルが爆破されました。
パキスタン新政権の対テロ政策を挑発するテロ事件と見られています。
今回の爆破事件による死傷者は合わせて300人を超えています。
ザルダリ大統領は21日、国連総会に出席するためニューヨークに向かい、ブッシュ大統領と会談する予定です。
世論は「ブッシュ大統領との会談ではテロ対策が重要議題となるだろうが、マリオットホテルの爆弾テロはザルダリ政権のテロ対策を挑発するものだった」と見ています。
事件を受け、21日、ザルダリ大統領はテレビ演説を行い、過激派とテロリズムを一掃する決意を表しました。
パキスタンの国内メディアは「テロ対策と主権擁護は新政権の大きな課題であるが、大統領自身の安全問題も重要である」と見ています。
ここ数カ月、パキスタン軍は北西部国境と政府直轄地域でタリバンや地方武装勢力を掃討する作戦を実施しています。
断食月に入っても、この軍事行動は停止されていません。
今回の爆弾テロは武装勢力による政府への報復であると見られています。
また、一部のメディアは「今回の爆弾テロの標的は大統領であった」と指摘しています。
パキスタン政府によりますと、テロリストは20日午後から、大統領が演説を行った議会ビルや、ギラニ首相の招きで軍指導部との晩餐会が行なわれた事務局庁舎を狙い、攻撃用のトラックは首相事務局庁舎付近を徐行していました。
しかし、警備が厳重だったため、数百メートル先のマリオット・ホテルを選択しました。
ザルダリ大統領は就任後、イギリスやアメリカを外遊先に選ぶなど、欧米よりの政策を掲げていました。
国内世論は「今回のテロ攻撃はザルダリ大統領の親米政策に打撃を加えるだろう」としています。
マリオットホテルの爆破により、パキスタン国内の治安情勢は一層悪化し、ザルダリ政権のテロ対策は壁にぶっかっています。
タリバン勢力は北西部の国境地帯にある部族地域を拠点として、勢力拡大を推進するとともに、攻撃を頻繁に行っています。
一方、アフガニスタン駐留のアメリカ軍は対テロ作戦で越境攻撃を行い、パキスタンの主権と領土保全を挑発しています。
今月17日、アメリカのマレン統合参謀本部議長がイスラマバードを訪問し、パキスタンの主権を尊重すると強調しましたが、数時間後、アメリカ軍の無人機が北西部の部族地域に対するミサイル攻撃を実施し、13人が死亡しました。
今回の爆弾テロを受け、パキスタン国内からは治安維持を求める声が高まり、アメリカからはテロ対策強化を要求する声が拡大しています。
ザルダリ政権は内外ともに、困難な課題を抱えています。
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