国営パキスタンテレビによりますと、21日パンジャプ州の町ワーにある兵器工場を狙った自爆テロが2回発生し、少なくとも56人が死亡して、多くの負傷者が出ました。
現地の警察当局によりますと、イスラマバード北西部約50キロのタキシラ市の近郊にあるこの兵器工場は国内最大級を誇り、従業員は3万人を超えています。
2人の犯人がそれぞれ2カ所の門で待ち構えて、退勤時間の午後2時40分に爆発を起こしました。
これを受け、イスラマバードとパンジャプ州は警戒を強化し、ソームロ大統領代行とギラニー首相は声明を発表して犠牲者の遺族に哀悼の意を表し、警察当局はテロにかかわっている容疑者3人を逮捕しました。
当日、「パキスタン・タリバン」という武装勢力が犯行声明を出しました。
「パキスタン・タリバン」のオマル報道官は「今回の自爆攻撃はバジャールの部族地域に対する政府軍の空爆に報復した。政府の治安部隊がバジャールでの軍事行動を停止しなければ、大都市で同様の自爆攻撃を発動する」と警告しました。
バジャール州はパキスタン北西部にあり、現地のタリバン勢力は今月6日、政府治安部隊の車列を待ち伏せ攻撃しました。
政府軍は当日から、掃討作戦を行っており、21日までにタリバン勢力メンバー600人以上を射殺しました。
これを受け、タリバン勢力は報復作戦を展開しています。
12日、空軍所属のバスが北西辺境州のペルシャワで爆発され、13人以上が死亡しました。
19日、犯行者の1人が北西辺境州内の病院で自爆し、60人以上が犠牲となりました。
2回のテロ攻撃で「パキスタン・タリバン」はいずれも、犯行声明を出しました。
オマル報道官はAP通信に対し、「攻撃は政府軍への報復である。大統領が辞任しても、政府は政策を変更しなかった」と語りました。
パキスタン新政府は武装勢力との和平交渉を試みましたが、アメリカなどから疑問視されています。
21日、ギラニー首相は「テロ対策で防衛より、積極的攻撃を実施すべである」との立場を表明しました。
一方、パキスタンの武装勢力は一連のテロ攻撃を実施して、政府軍の掃討に抵抗しており、対テロ作戦の困難さが増しています。
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