パキスタンの国営テレビの報道によりますと、ムシャラフ前大統領の辞任に伴って6日、パキスタンの大統領選挙が行われ、去年暗殺されたブット元首相の夫で、第1党パキスタン人民党の共同総裁・ザルダリ氏が当選しました。
今回の選挙は、パキスタンでこの1年間に行われた2回目の大統領選挙になります。去年10月に行われた大統領選では、ムシャラフ氏が再選されましたが、連立政権による弾劾を受け、今年8月に辞任しました。そして、今月6日に改めて大統領選挙が行われ、開票の結果、パキスタン人民党共同総裁のザルダリ氏が、投票総数702票のうち479票を獲得し、およそ7割の得票率で圧勝しました。ザルダリ氏は、妻のブット元首相の2度目の任期中に環境大臣や上院議員などを歴任しました。去年12月、ブット元首相が暗殺されてからは、パキスタン人民党の共同総裁に就任していました。国内情勢から見て、ザルダリ氏には解決すべき3つの大きな課題があるといわれています。
まずは、国内の政治紛争を解決することです。ザルダリ氏が率いるパキスタン人民党は、ムシャラフ前大統領が解任した判事の復職について最大の反対派のイスラム教徒連盟シャリフ派と対立しています。シャリフ派は、人民党に対して、去年11月にムシャラフ前大統領によって解任された判事60人の復職を求めていますが、人民党は、チョードリー最高裁長官の復職を拒否しています。この問題をめぐってシャリフ派と人民党の対立が激しくなり、シャリフ派は連立政権から離脱することを決めました。連立政権を離脱した第2党のシャリフ派は、今後、内政面で人民党が主導する政権を牽制していくだろうといわれています。
ザルダリ氏にとって2つ目の課題は、パキスタンの経済を発展させることです。パキスタンの新政府が発足してから、エネルギーや電力の不足、外貨準備額の減少など深刻な経済問題が起こり、国民生活には大きなインフレ圧力が加わっています。ザルダリ氏は投資大臣を務めたことがあり、パキスタンの経済状況に詳しいことから、大統領の任期中に指導力を発揮して、経済を良好に発展させていくことが期待されています。
そして3つ目の課題は、国の治安情勢を改善することです。パキスタンでは、政府による対テロ活動が窮境に陥り、治安情勢の悪化が続いています。パキスタン政府は、和平交渉と軍事作戦の2つの方法によって対テロ活動を展開していますが、効果は極めて小さいのが現状です。パキスタンの治安部隊は、数日間にわたる軍事作戦を行っていますが、反政府武装勢力から頻繁に攻撃されているとともに、パキスタンの多くの大都市で爆弾テロが相次いで発生しています。今回の大統領選挙が行われた当日にも、北西部のペルシャワで自動車を使った爆弾テロが起き、少なくとも15人が死亡しました。
したがって、ザルダリ氏にとっては、新しい政府を率いて政治、社会、経済の困難な状況をいかに打開するかが課題となると見られています。(翻訳:鵬)
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