ロシアのメドベージェフ大統領は26日、南オセチアとアブハジアの独立を認める大統領令に署名しました。これに対して西側諸国は強く反発しています。
メドベージェフ大統領は26日発表した声明の中で、「南オセチアとアブハジアの国民の自由な願いを考慮し、国連憲章の関連規定や1970年の関連会議での関係国の友好関係に関する国際法の原則、1975年に署名したヘルシンキ文書、およびその他の関係国際文書の精神に基づき、ロシア連邦は南オセチアとアブハジアの独立を認める命令に調印した」と説明した上で、「これは容易な選択ではないものの、民衆の生命を保全する唯一の選択だ」と強調しました。さらに、ほかの国に対してもこれに従うよう呼びかけました。
前日の25日、ロシア連邦の連邦会議と国家会議は、南オセチアとアブハジアの独立の要求を支持することに全会一致で同意し、大統領と国際社会にも独立を認めるよう呼びかけていました。14日メドベーシェフ大統領は、南オセチアとアブハジアの大統領と会談した際、「この二つの地域の地位に関して、南オセチアとアブハジアの国民が国連憲章やその他の国際文書に基づいて下したいかなる決定もロシアは支持するとともに、コーカサス地区ないし全世界の範囲で保障する」と述べました。20日、アブハジアと南オセチア当局は独立の承認を求める文書をロシア側に提出し、ロシア連邦の連邦会議と国家会議は積極的支持する姿勢を示していました。
ロシアの政治専門家は「メドベージェフ大統領がすぐさま独立を承認する決定を下したことは、南オセチア問題で 膠着状態が続いていることやグルジアとの軍事衝突発生後に西側が圧力を加えたことと不可分だ」と見ています。
ロシアの独立承認にグルジアはすぐに反応を示し、大統領は直ちに国家安全保障委員会会議を開いて対策を検討しました。安全保障委員会のロマヤ秘書は、ラジオで「グルジアとロシアの関係は永遠に断たれた」と述べ、グルジアの外務次官は「ロシアの行動は公開的な併合だ」と指摘しました。
西側諸国も強く反応しています。アメリカのライス国務長官は、遺憾の意を示した上で、「アブハジアと南オセチアは今後もグルジアの一部だと考えている。現状を変えようとするロシアの画策を阻止するため、安保理で拒否権を行使する用意がある」とアメリカ政府の立場を表明しました。
ドイツのメルケル首相は「ロシアの決定は受け入れられないもので、国際法の準則に背くものだ」と強調しました。イギリスのミリバンド外相は、「ロシアの独立承認は理由のないもので、受け入れることはできない」と述べ、「ロシアのグルジア侵略」に反対する連盟を設置するよう呼びかけました。欧州連合(EU)の議長国・フランスのサルコジ大統領とクシュネール外相も、遺憾の意を示した上で、非難しました。
一方、クレムリンの広報局によりますと、メドベージェフ大統領は外務省や関係行政機関などに南オセチア、アブハジアと外交関係を締結することについて交渉を行うよう指示を出した、ということです。(朱丹陽)
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