ロシアのプーチン大統領は17日、2日間にわたるリビアへの公式訪問を終えました。ロシアの大統領がリビアを訪問するのは、これが初めてです。今回の訪問は、ロシアの中東地域における政治、経済面での影響力復活に大きな役割を果たすものとみられています。
まずは、中東地域における大国としての役割を再び担おうとしているロシアの一連の動きについて、振り返ってみましょう。プーチン大統領は5月に退任を控えていますが、リビア訪問の前日にロシア最大の政党である「統一ロシア」の党首就任要請を受諾したほか、ロシアの首相にも就任する予定です。これは、プーチン大統領が退任後も実質的な最高指導者として君臨し続けることを意味しています。一方、アメリカはイラク戦争の泥沼化で、中東における主導力を弱め続けています。
去年からロシアは中東諸国に対して積極的な外交活動を展開しています。まずは去年の初め、サウジアラビア・カタール・ヨルダンを訪問し、政治、エネルギー問題における協力強化で一致しました。また、プーチン大統領は10月に、核問題で西側諸国ともめていたイランを訪問しました。さらに、ラブロフ外相が年末にリビアを訪問し、両国関係の改善を大きく促しました。また、今年の3月に、ラブロフ外相が再び中東を訪問し、中東の平和プロセスを促進する意向を表明しました。これらの外交活動から、ロシアが再び中東地域で大国としての重要な役割を果たそうとしている姿勢が伺えます。
今回のプーチン大統領のリビア訪問を通じて、両国は戦略的協力関係の強化を確認し合いました。16日、プーチン大統領はリビアの最高指導者のカダフィ大佐と会談し、両国の友好協力関係を強化する協定に調印しました。また、中東地域で殺傷性兵器を撤廃すること、地中海地域における軍事活動を削減すること、平和・安定・協力地域の建設を目指すことで一致しました。
経済貿易協力に関しては、リビア訪問中に両国間で10項目の契約が締結されました。双方は、天然ガスに関する覚書に調印したほか、リビアが長さ500キロメートルの鉄道を敷設する計画に対して、ロシアが22億ユーロを提供することで同意しました。さらにロシアは、リビアが旧ソ連時代から抱えていた数十億ドルの債務を免除しました。
核エネルギーの平和的利用についても、双方は協力を強化することにしています。今回のプーチン大統領の訪問中、両国は近いうちに原子力エネルギーの平和的利用に関する協力枠組み協定、及び協定の実施計画に調印することで一致しています。エジプトのムバラク大統領が3月にロシアを訪問したときにも、双方は同じ協力枠組み協定に調印しています。そのほかに、シリアも先日、原子力エネルギーの平和的利用でロシアと協力していく意向を発表しました。なお、中東とアラビア諸国は、原子力エネルギーの平和的利用を終始希望しており、この分野における協力により、大きな発展と巨大な利益を生み出すことが期待されています。
17日に、プーチン大統領がシリア訪問を終えた際、ロシア訪問中のパレスチナ自治政府のアッバス首相は、次回中東問題国際会議が6月にモスクワで開かれることを発表しました。中東地域における影響力復活を目指して、精力的に外交活動を進めているロシアに世界の注目が集まっています。
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