グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州をめぐるロシアとグルジアの軍事衝突で、グルジア外務省は10日、ロシア側に停戦通知書を渡し、グルジア軍が10日から南オセチア自治州から撤退していることを明らかにしました。これにより、南オセチア情勢が和平に向けて動き出していると言われていますが、ロシアは、グルジア軍は依然として紛争地域で活動しているとして情勢の改善を否定しました。この地域の情勢は今後、どうなっていくのでしょうか?今日の時事解説は、これについてお伝えします。
南オセチア情勢は、8月1日から悪化しています。7日未明から8日にかけて、グルジア軍と南オセチア自治州の部隊が州都ツヒンバリ付近で衝突し、8日夜、グルジアのサーカシビリ大統領はテレビ談話を行い、グルジア軍がツヒンバリを支配下に置いたと発表しました。ロシア国防省の発表では、この衝突でロシア平和維持部隊の兵士10人余りが死亡し、30人が負傷したということです。南オセチアの州都ツヒンバリとほかの地域では、砲撃によって建物が倒壊し、地元住民およそ1500人が死亡したほか3万人余りがロシアに避難しています。
これに対してロシアは強く反発し、メドベージェフ大統領は9日、南オセチアに対するグルジアの侵略行為は国際法の厳重な違反だとして、ロシア国籍を持つ住民を殺すのは許せないと批判しました。そしてロシアのプーチン首相は、北京五輪の開会式に出席した後、ただちに南オセチアに接しているロシアの北オセチア共和国の首都ウラジカフカスを訪問し、強硬な発言を行いました。そして、ロシア軍は、南オセチアでの軍事作戦を全面的に始めました。
これを受けてグルジアのサーカシビリ大統領は9日、全土で15日間の「臨戦状態」に入ることを命じ、グルジア議会がこれを承認しました。
サーカシビリ大統領は就任以来、親西側路線を堅持し、NATO・北大西洋条約機構への加盟を求める政策を実施してきました。これは、アメリカから支持を得ています。しかし、グルジアからの独立を求める南オセチア自治州とアブハジア自治共和国が、グルジアのNATO加盟の大きな妨げとなっています。この妨げをなくすため、グルジアがこの地域で大規模な軍事作戦を引き起こしています。一方、ロシアにとって、南オセチアとアブハジアは、グルジアのNATO加盟を阻止するために重要な地域となっています。現在、ロシアの強力な軍事介入により、グルジア軍の活動が抑制されています。しかし、紛争地域では、グルジア軍の主力が依然として活動していることから、南オセチアの情勢が改善するにはまだまだ難しいといわれています。 (翻訳:鵬)
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