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パキスタンのブット元首相の暗殺事件で捜査を支援していたイギリスのロンドン警視庁は8日、その死因について、自爆テロの爆風で、頭部を車体の一部に強打したことが致命傷になったとする報告書をパキスタン政府に提出しました。しかし、野党のパキスタン人民党(PPP)はこの調査結果を受け入れないとし、国連による調査を改めて要求しました。
パキスタンのブット元首相は昨年12月27日、イスラマバード近郊のラワルピンディで自爆テロに遭って死亡しました。事件発生後、イギリスのロンドン警視庁はムシャラフ大統領の要請を受け、パキスタンに捜査チームを派遣し、死因の解明に協力していました。1ヶ月にわたる調査の結果、自爆テロによる爆風で、頭部を車の屋根に強打したことが死亡の原因だと分かりました。これは、パキスタン政府が事件直後に発表した死因とほぼ一致しています。また、事件当日に元首相が乗っていた乗用車を検査したり、事件直後救助を担当した医師や遺体を処理した人民党員に聞き込みを行ったりしたところ、ブット元首相は一切被弾していなかったということです。
このほか、パキスタンの警察が暗殺実行犯の人数を1人以上としていたのに対し、ロンドン警視庁の調査報告では1人と結論付けられており、さらにこの人物は銃撃した後自爆したとされています。
しかし、この事件の黒幕は誰かということについては、まだ定説はないようです。パキスタン政府は、同国の武装勢力の指導者メスード氏が暗殺に関与したと見ており、イギリスの警察も、国際テロ組織「アルカイダ」の疑いが大きいと指摘しています。一方のメスード氏は事件への関与を否定しています。しかし、パキスタンの警察が暗殺事件に関与したと見られる2人の重要な容疑者を逮捕したことから、事件の黒幕は間もなく明らかになると発表されています。
ところで、ブット元首相が率いていた野党のパキスタン人民党はこの調査結果を受け入れないとし、元首相は銃撃で死亡したと強調して、国連による調査を求めました。8日にはパキスタンの一部の都市で武力衝突が発生し、少なくとも10人が死傷しました。これは、ブット元首相の支持者の反発によるものと見られます。
パキスタン政府はブット元首相の暗殺事件を受けて、今年1月に予定していた総選挙を2月18日に延期しました。現在、選挙活動が展開されていますが、今回の調査結果をめぐって政府と野党が対立していることから、総選挙が予定通り実施できるか、また、パキスタン情勢がどんな方向へ進展するかについては予想できないようです。(翻訳:鵬)
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