米財務省は12日、核兵器の開発に関与しているとして、イランの農業・医療核研究センターなど5つの政府系機関や企業を金融制裁の対象に指定しました。今回の制裁は、欧州連合が今月7日に決めた新たな制裁措置に続くものです。これに対して、イランは、どのように対応するのでしょうか?
イランはまず、政治対話を続けたいと表明しています。イランの核問題交渉責任者のジャリリ最高安全保障委員会事務局長は11日、欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表と電話で会談し、7月19日にジュネーブで行った協議とその後の接触に満足の意を表した上で、イラン核問題について建設的な会談を続けたいと述べました。イラン外務省のカシカビ報道官も12日、イラン核問題について西側諸国と建設的な雰囲気の中で会談したいと語りました。
イランは、また経済金融の面でも対応措置をとっています。イラン国営テレビが9日に伝えたところによりますと、イラン政府は、新たな制裁によって資産が凍結されることを避けるため、イラン国営石油会社に対して石油収入を全て、指定された海外の銀行に預けることを命じたということです。
制裁への対応措置として、イランは西側を威圧するため、その軍事力を示しています。アメリカをはじめとした西側諸国は、イラン核問題の解決のために武力行使を排除しないと強調しています。これに対してイランのナッジャル国防相は12日、イラン軍は、敵からの奇襲に備えて湾岸地域の情勢を常に監視しており、攻撃されれば壊滅的な反撃を加えると警告しました。その上で、ナッジャル国防相は「イランは、この地域では大きな武力を持つ国で、この前行った軍事演習により、イラン軍の実力は世界の知るところとなった」と述べました。またイラン海軍は、海上における防衛力を示すため、間もなく3日間にわたる大規模な軍事演習を行うということです。
イランが、西側の制裁に抵抗するもう一つの手段は、石油輸送の重要な航路があるホルムズ海峡を封鎖することです。イラン革命防衛隊のモハンマド・ジャファール・アサディー陸軍司令官は9日、「世界の石油輸送船の大部分がホルムズ海峡を通る。イランが外国からの侵略に反応してホルムズ海峡を封鎖すると、この石油輸送ルートも遮断されてしまう」と述べた上で、「イランを攻撃するなら、まずエネルギー価格の問題を考慮しておかなければならない」と強調しました。ホルムズ海峡が封鎖されれば、国際石油価格が300ドル以上に上昇する可能性があることから、アメリカやイスラエルは武力行使を行う前によく考慮しなければなりません。(翻訳:鵬)
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