イラクのマリキ首相は9日午後、イランへの訪問を終え、帰国しました。テヘランを離れる前、マリキ首相は、「今回のイラン訪問は、大きな成果を収めた。これを機に、両国の友好協力関係の前向きな発展を一層推進していきたい」との考えを示しました。
マリキ首相は7日午後、テヘランに到着し、イラン訪問を始めました。これは、マリキ首相の今年2回目のイラン訪問で、イラクがイランとの関係を重視していることを示しています。イラン訪問中、マリキ首相はイランの最高指導者ハメネイ氏、アフマディネジャド大統領、ラリジャニ議会議長などと会談を行い、安全保障やエネルギー問題及び両国の政治、軍事、経済などの分野における協力問題について話し合いました。
マリキ首相の今回の訪問では現在、交渉中の『イラク駐留アメリカ軍地位協定』について、イラン側に説明することが、主な目的の一つでした。この協定は、イランの強い不安と反対を引き起こしています。ハメネイ氏はマリキ首相と会談した際、「イラクが直面している主な問題は、アメリカを始めとする国の軍隊の駐留問題であり、これは、イラクの民族団結にとって妨げとなっている」と指摘しましたこれに対し、マリキ首相は次のいくつかの点を述べました。
まず、イラクは、自国の安全保障問題だけではなく、イランの安全保障問題も重視しており、自国の領土がイランと他の隣国の利益を損なうことに利用されることを許さないこと。イラクとアメリカの協定は決して、イランに損害をもたらすことはないこと。
次に、イラクとイランは、両国の軍事協力を強化するための覚書に調印したこと。両国の国防相は8日、双方の軍事面での協力を強化することが、地域の平和と安定にプラスとなることで合意し、9日この覚書に調印したことです。
最後に、マリキ首相は、イランの警戒心を解き、自国の安全保障問題と再建においてイランから力強い支持を得たことを述べました。
マリキ首相は、アフマディネジャド大統領と会談した際、「イラクとイランは、双方の各分野における協力を推進すべきである。これは、イラクの安定と発展にプラスとなる。イラクの安定は、地域はもとより全世界の安定にかかわっている」と強調しました。これに対し、イランのアフマディネジャド大統領は、「イラクの隣国、友人と国連は、イラクの安定の維持に協力すべきである。特に、イラクの隣国はより大きな役割を果たさなければならない」と述べました。また、イランのラリジャニ議会議長も、会談の中で、「イラクの安定は、イランを含む周辺諸国の国家利益に符合するものである。ふるさとを再建するために、イラクの安定と平和を取り戻すことが必要である。イランは、このために重要な役割を果たしたい」と語りました。
今回の訪問に対し、世論は、「マリキ首相のイラン訪問は、その目的を実現した。『イラク駐留アメリカ軍地位協定』について、イラン側にうまく説明し、その警戒心を解いたほか、イラクの安全保障問題や再建活動でのイランからの支持を得た」と見ています。
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