イランのアフマディネジャド大統領は9日、東部の都市マシュハドを視察した際、「イランは、西側諸国からの圧力に屈して、核開発を停止することはない」と述べました。これは、アメリカ国家安全保障会議の報道官が行ったイランへの非難に対して応えたものです。
アメリカ国家安全保障会議のジョンドロー報道官は8日、「イランは、6000基の遠心分離機を設置し、濃縮能力が倍増する分離機の試運転をしたことは、ウラン濃縮活動の停止を求めた国連の決議を無視するものだ。国際社会から新しい経済制裁と外交制裁を招くだろう。イランが引き続き国連安保理の決議の遵守を拒否したことにより、さらに孤立するだろう」と述べました。また、アメリカのライス国務長官はこの日、「イランが国際社会の合理的な提案を拒否することで、制裁を受け、孤立する状況は変っていない」と語りました。
これに対して、イランは強く反発しています。アフマディネジャド大統領は、マシュハドを視察した際、「イランは、核を持つ国である。もし西側諸国がこれについて引き続きイランを妨害しようとすれば、イランは核開発のテンポをさらに速めていく。制裁と経済封鎖でイランを屈服させようとする企みは必ず失敗に終わる」と述べました。
では、国際社会は、イランの核開発になぜこれほど敏感になるのでしょうか。イランは世界で4番目の石油輸出国で、天然ガスの貯蔵量はロシアに次いで第2位です。イランは民生用の核開発を行っているとしていますが、国際社会は信用できないと見ています。核の専門家によりますと、1500基の遠心分離機は1個の核弾頭に必要な濃縮ウランを生産出来るということです。IAEA・国際原子力機関が出したイラン核問題の最新報告は、イランでは3000基の遠心分離機が稼動していることを明らかにしましたが、イランは、現在使用中のP1型の5倍の効率を持つ新型の遠心分離機6000基を設置すると発表しました。こうしたことから、国際社会は、イラン核開発の本当の目的に疑問を感じています。アメリカに続いて、フランスやイスラエルなども、イランの核開発を停止させるよう国際社会に呼びかけています。国連安保理は、これまで三つの決議を採択して、イランの核計画及び関連分野に対して制裁を行っています。
アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツの6カ国は今月16日、イラン核問題をめぐって上海で会議を開き、外交ルートでの話し合いによるイラン核問題の解決を図ります。会議では、6カ国が2006年に提出したイラン核問題の解決に関する一連の提案に、さらに新たな内容を盛り込むかについて討議する予定です。
一方、イランのアフマディネジャド大統領は、イランのウラン濃縮活動の停止を求めるいかなる新たな提案も受け入れない立場を表明しました。そして、IAEA・国際原子力機関の枠組み以外では、いかなる国や機関とも交渉を行わないと強調しました。こうした状況からみますと、イラン核問題の解決はしばらくの間難航すると思われます。国際社会は、イランは今後も核開発を継続し、西側諸国との対立を深めていくだろうと見ています。
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