イランのアフマディネジャド大統領は29日夜、パキスタン、スリランカ、インドの3カ国に対する2日間の訪問を終えました。今回の訪問は、イラン、パキスタン、インドを繋ぐ天然ガスパイプラインプロジェクトでのインドとパキスタンとの協力を推進することでした。
イラン、パキスタン、インドを繋ぐ天然ガスパイプラインを建設するという発想は、1990年代初め頃にできたものです。プロジェクトの投資総額は、約7.5億ドルで、完成後は、インドとパキスタンのエネルギー供給に大きな影響を与えます。イラン、インド、パキスタン3カ国はこのプロジェクトを巡って、何度も交渉を重ねましたが、なかなか進展しませんでした。去年7月、インドとパキスタンは、プロジェクトの国境通過費用の分担問題で意見の食い違いがあり、交渉は一時的に中断しました。しかし今月25日、両国は、この問題で合意し、来年パイプラインの建設をスタートさせることになりました。しかし、インドはこのほど、プロジェクトに関する最終交渉を行う提案と、まもなくテヘランで行われる3カ国の準備会議への出席を拒否しました。
この天然ガスパイプラインの建設が順調に進むかどうかは、イランにとって重要な問題です。エネルギー輸出で得た利益を国内の建設に使うことができるだけでなく、経済制裁の圧力を減少させ、南アジアの隣国との関係を改善することができるからです。このため、エネルギー外交の重点を東側に移し、インドとパキスタンの食い違いを解消させることがアフマディネジャド大統領の今回の訪問の主な任務となりました。
28日夜、パキスタンを訪問中のアフマディネジャド大統領は、パキスタンのムシャラフ大統領とギラニ首相とそれぞれ会談し、天然ガスパイプラインプロジェクト、両国関係及びアフガニスタン問題などで協力することについて討議しました。双方は、すでに天然ガスパイプラインプロジェクトに関するあらゆる問題を解決し、その協定に調印することで合意したと表明しました。
また、アフマディネジャド大統領は29日ニューデリーを訪れました。冷えた関係が3年間も続いた今、両国はいずれも、関係改善の重要性を認識しています。イランにとって、インドとの協力は、そのエネルギー協力戦略の重要な一部です。またインドも、経済の急成長にとって安定的な石油と天然ガスの供給が不可欠です。ですから、エネルギー協力は、両国関係を推し進めることにとって、重要な力だといえます。
インドのメノン外務次官は29日夜、「天然ガスパイプラインプロジェクトは、実現可能であり、このプロジェクトを完成させることは、貿易面だけではなく、3カ国の相互信頼を築くきっかけでもある」と述べました。一方、アフマディネジャド大統領は、「3カ国の担当者は、1カ月半のうちに未解決の問題と協定に合意し、3カ国の指導者に報告書を提出した後、最終的な決定が下される」としました。
これについて、専門家は、「アフマディネジャド大統領の今回の訪問は経済、エネルギーなどはもちろん、イランと南アジア3カ国との関係発展に新しい機会を提供した。関係各国が、このチャンスを生かし、各分野で実質的な進展を遂げることができるかどうかは、これからの努力しだいだ」と見ています。
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