北京オリンピックの三大理念のうち、人文オリンピックは核心的な理念になっています。この理念は、オリンピック精神と5000年の歴史を持つ中国文化の精髄が融合したもので、「調和、交流、発展」をテーマとしたオリンピックをアピールしています。この理念は、準備期間中最後まで堅持され、北京が世界に捧げる特別なオリンピック遺産になるでしょう。
中国文化は5000年の歴史を持ち、世界で唯一途切れなく続いている文化です。北京は、中国の歴史文化があふれる町です。3000年の街づくりの歴史があり、数多くの貴重な遺跡を持っています。このことから、伝統文化の資源を十分生かして、中華文明をピアールするとともに、北京オリンピックに独自の歴史的文化的価値を表すことが求められると、中国人民大学人文オリンピック研究センターの金元浦教授はみています。さらに、金教授は、「5000年の歴史を持つ文化を背景に、オリンピックを主催するのは、われわれにとって最も誇るべきことです」と述べました。
2000年から、北京はオリンピック誘致をきっかけに、市クラス以上の文化財の保護のため、3年間に3億元(日本円にしておよそ45億円)を投じました。誘致が成功した後、2003年から、5年間に合わせて6億元(日本円にしておよそ90億円)を投じて、「人文オリンピック文化財保護計画」を実施しました。
そのため、多くのオリンピック競技場の建設に当たって、歴史遺跡の保護を優先させました。たとえば、卓球競技場になる北京大学体育館はその一例です。近くにある古い建物や樹木を保護するため、競技場の設計は2回にわたって修正されました。これについて、北京大学体育館の総設計士を担当した湯朔寧氏は、「北京オリンピック組織委員会の求めによって、樹木の上部の枝などの影から3メートル以内では、建物を建てることができません。私たちはこの古い庭と古い樹木を保護しました。ここは競技場の景観の一部になりました」と語りました。
マスコットやロゴ、トーチなどのデザインにも、中国文化の特徴を取り入れています。北京オリンピックのマスコットの五つの幸せの子供という意味の「フーワー」のデザインや色は、オリンピックの五つの輪のほか、中国の山河、大地、湖、動物からアイディアを得ました。著名な美術評論家の水天中氏は「フーワーは、友好的で、友情に満ち、強い生命力を持ち、活動的なイメージになっています。このマスコットは、中国の民族文化に新しい内容を注ぎ、オリンピックにも新しい文化を注ぎました」と強調しました。
また、ロゴは、伝統的な印と書道芸術そしてスポーツの特徴を融合して、前に向かって走る姿、舞う姿になっており、勝利を迎えるイメージになっています。IOC・国際オリンピック委員会のロゲ会長は、「これは特徴に満ち、叙情的なロゴで、中国の歴史と文化遺産を想像させるものだ。同時に、中国の若さと活力を感じさせる」と、高く評価しました。(朱丹陽)
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