ここ最近、国際原油価格は、急騰を続けており、1バレル当たり135ドルの史上最高値を突破しました。これからも原油価格が引き続き高騰して1バレルあたり200ドル前後になるのではないかという懸念が起きています。原油価格の高騰は、世界経済に影響を与えるとともに、世界各国、特に貧しい国に深刻な負担を与えています。しかし、世界最大のエネルギー消費国のアメリカと、主要な石油の輸出機構であるOPECは互いに、相手こそがより重い責任を負うべきだと責任をなすりつけ合っています。
OPECとそのメンバー国は、度重なる増産要求に対して、国際原油市場では需要のバランスがよく取れており、価格高騰と生産量とは関係がないと繰り返して主張してきました。OPECのバドリ事務局長は、石油価格の高騰が地域的な政治情勢の悪化、投機活動、ドルの値下がりに原因があると指摘し、OPECとしては、脱線状態にある市場をもはやコントロールできないと訴えました。一部のOPECのメンバーも、石油価格の高騰は、ドルの値下がりとそれとともに起きたインフレが原因だと主張しました。OPECのヘリル議長は、今年の初め、「国際市場で供給が足りなかったことが確認されて、初めて増産に踏み切る」との考えを示しました。
一方、アメリカは石油価格の高騰は需要が大きく、供給が不足していることが原因と強く主張し、ドル値下がりについては、口をつぐんでいます。アメリカのポールソン財務長官は、「石油価格の高騰は、需要と供給のバランスが崩れているからだ。投機的な市場行為が原因というわけではない」と繰り返し訴えています。米国政府は、OPECに増産を要求することで、問題解決を図るとの方針を決めています。ブッシュ大統領は、今年、OPECで石油産出量が最も多いサウジアラビア王国を2度にわたって訪問し、増産要求を繰り返しました。米下院は、アメリカ司法部門に対し、OPECメンバーが原油供給を制限し、水面下で価格決定を行ったとして、告発するよう求める法案を採択しました。
しかし市場関係者は、短期的にみれば、石油価格の高騰は投機的な行為が確かにあったとの認識を示しました。これは、市場が原油の短期的な供給について心配をしていることからくるものです。その原因は、石油産出地域の不安定な情勢と従業員のストライキも挙げられていますが、最大の原因はドルの持続的な値下がり状態です。米国の投資家も、「ブッシュ政府は、ドルの値下がりの責任を負うべきだ」と指摘し、「ドル値下がりに歯止めをかける方策がまだ実施されておらず、これによって石油価格も引き続き高騰する」と見ています。
専門家は、「確かに石油産出国と国際資本に対し、石油生産量の増加を促す必要がある。ただ、短期的にはドル値下がりを解決することも必要だ」としています。(翻訳:李軼豪)
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