先週に入ってニューヨーク商業取引所の原油先物相場は5日連続で最高値を更新し、9日の終値は1バレル=125.96ドルに達しました。
需給の逼迫という懸念があるものの、継続的なドル安が原油高騰の主な原因であると見られています。
石油輸出国機構(OPEC)は8日、声明を発表し、「経済協力開発機構(OECD)諸国の石油備蓄量は過去5年の平均レベルを上回り、アメリカの備蓄量もおよそ600万バレル増加した。継続的なドル安により、投機資金が大量に原油市場に流入して相場を押し上げている」と明らかにしました。
アメリカでは去年サブプライム住宅ローンの破綻に伴う景気後退でインフレが拡大し、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は7回利下げを実施しました。
そのため、ドル建てで取引されている原油相場への割安感が高まっています。
これを受け、石油輸出国は損失抑制で減産傾向にあり、増産を拒否しています。
こうした背景のもと、ドル建て資産にしても、ユーロ建て資産にしても、原油先物に注目が集まっており、買いが優勢となっており、原油への投機規模は拡大する一方です。
経済学者は需給状況に基づき、原油相場は1バレル=60ドルを超える理由はなく、投機で原油相場は60%上昇したと見ています。
世界最大の投資銀行ゴールドマン・サックス(GS)は5日、アナリスト・レポートを発表し、「これから2年以内に、原油価格は1バレル=150ドルから200ドルに高まる可能性がある」と予測しました。
世論は「ゴールドマン・サックスの予測は原油価格の高騰を加速した」と批判しています。
欧州中央銀行(ECB)は8日、主要政策金利である短期買いオペ金利を現行の年4.0%に据え置くことを決めました。
これはドル安を一層加速させ、原油価格を押し上げました。
原油価格の高騰は景気後退のアメリカに打撃を加えています。
アメリカの国内メディアによりますと、ブッシュ政権は1680億ドル規模の景気刺激策を実施しましたが、原油価格の高騰で相殺されたということです。
そのため、為替相場による経済調整策でドル安が長期化する可能性があると見られています。
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