国際市場の原油価格は、2008年の取引初日、1月2日に1バレル100ドルの大台を突破し、また、3日に1バレル100.09ドルの最高値を記録しました。専門家は、「原油価格の高騰は、各国経済の試練である」と見ています。
EU・欧州連合の経済関係広報担当のトレス氏は3日、「原油価格の高騰が、今後も続けば、EUの経済に影響を及ぼすだろう」と述べました。これに先立って、去年12月初め、EUの経済関係担当のアルムニア委員は、「原油価格の高騰や金融市場の揺れなど不利な要素を考えれば、EUの2008年の経済成長率は、2%以下になる見込みだ」と述べました。
専門家たちは、「原油価格が高騰しているため、EUの消費市場が抑えられ、経済の成長に悪影響をおよぼすと見られている。また、インフレの圧力も強まり、欧州中央銀行はどのような政策を取るのか困っているようだ」と分析しています。原油や食品の価格の高騰を受けて、去年11月、EUのインフレ率は3.1%まで上昇し、欧州中央銀行が設定した2%という警戒線を大幅に超えていました。
一方、「アメリカドルに対して、ユーロが値上がりしているので、原油価格の高騰が、EUに与える影響は、それほど大きくないだろう」という見方もあります。
さて、原油価格の高騰は、アメリカにどんな影響を与えるでしょうか。原油価格の持続的な上昇は、GDP・国内総生産の三分の二を占めている個人消費に大きく影響すると予想されています。この二年間、アメリカは、住宅市場の低迷などで消費市場も落ち込んでいます。原油価格の高騰は、ガソリンの価格の値上がりにつながるので、消費者にとってかなり悪いニュースです。また、EUと同じように、原油価格の高騰は、インフレ圧力を倍増させました。しかし、「エネルギー消費が、アメリカ人の支出に占める比率は、以前と比べ、それほど大きくないので、アメリカ経済を衰退させるはずはない」と見る専門家もいます。
国際市場の原油価格の高騰は、日本や韓国、ロシアにも影響が出ました。日本の福田首相は3日、「原油価格の値上がりが及ぼす影響は無視できない。政府は、エネルギーコストの上昇が経済に与える影響を抑えるため努力していく」と述べました。一方、韓国の高官は3日、「インフレの圧力が大きくなったが、韓国経済は、その影響を受け入れられる」と語りました。また、ロシア政府も「大きな影響は及ぼさないだろう」と表明しました。
全体から見ますと、国際市場の原油価格の上昇は、世界経済に圧力をかけましたが、どれほど影響が出るかは、各国の決断に関わっています。うまく対応すれば、高騰する原油価格がもたらすリスクを最小限にすることができるでしょう。
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