国際市場の原油価格は最近、相次いで最高値を更新し、とりわけニューヨーク市場の原油先物相場は連続して上昇しています。20日のニューヨーク商業取引所の原油先物価格は、軽質油の10月渡しの終値が、前の日より1.39ドル上がって1バレルあたり83.32ドルと史上最高値を更新しました。また、ロンドン国際石油取引所の北海ブレントの11月渡しは、0.62ドル高の1バレルあたり79.09ドルまで値上がりしました。
ニューヨーク商業取引所の原油先物価格は、終値が13日に80ドル台を初めて突破してから現在まで、連続して上昇しており、ここ1ヶ月の上昇幅は15%を超えています。こうした原油価格の連続した上昇についてアナリストは、原油供給問題のほかに、アメリカの金利政策やアメリカドルの為替レートの変動、天候、政治情勢、それに市場での投機活動なども要因だと見ています。
世界各国の経済が急速に発展しているため、原油の供給は需要に応じられない状態が続いています。このため、原油価格は2002年以来、持続的に値上がりしています。統計によりますと、現在、世界の原油の生産量は1日8500万バレルですが、しかし原油の需要量は年末には8800万バレルまで上ると予想されています。原油の供給不足を受けてOPEC・石油輸出国機構は、11月から生産量を1日50万バレル増やすことを決めましたが、これでは不十分だと見られています。また、世界各国の石油生産はすでに減少しているか、あるいは近く減少する傾向にあり、さらに、ほとんどの国の製油能力が限界に近づいています。しかし、原油の需要は依然として増加しているため、国際的な原油の需給は今後も厳しい状況だといえるでしょう。
供給不安のほかに、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題への対策として実施した金利引き下げも、原油高騰の一因だとされています。投資家は、利下げによって原油の需要が増加し、また、今後も利下げが行われる可能性があると予測して、ヘッジファンドなどの投機資金が原油先物市場に流入しています。これも、原油価格の上昇を推し進めている原因です。
また専門家は、ここ数年、アメリカ政府が実施している弱いドル政策も、ある程度原油価格を引き上げている原因だと指摘しました。世界の原油はほとんどアメリカドルで取引されているため、ドル安が発生すると原油価格の上昇を招いてしまいます。一方、ドル安に対応して収入と購買力を維持する主な手段として、石油の輸出国が、原油価格を引き上げることがあります。
これ以外に、ハリケーンの発生や冬の暖房用石油の需要、それにイラクやイランの政治情勢なども、原油価格の高騰につながっているといわれています。
ある専門家は、原油価格に影響する要素に根本的な変化がなければ、大幅な値下がりは難しいと見ていますが、また別の専門家は、大きな政治事件が発生しない限り、原油価格が大幅に上昇する可能性は小さいと見ています。(翻訳:鵬)
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