国連安保理は3日、賛成14票、棄権1票でイランを制裁する決議1803を採択しました。
これは2006年12月と去年3月に次ぐ3回目の安保理イラン制裁決議です。
投票で棄権したインドネシアは「制裁強化はイランとIAEA・国際原子力機関の協力にとってマイナスである」との立場を表明しました。
この3回目の制裁決議はウラン濃縮活動の停止を引き続き要求し、政治と外交交渉による問題の平和的解決を強調し、IAEAの役割を支持します。
今回の制裁決議によりますと、核開発にかかわるイラン国内の機構や政府高官に対する資産凍結を拡大し、決議の付属文書にイラン企業12社を制裁対象として提示しました。
決議はまた「軍需品の生産に転用できる民需品を禁輸対象に拡大し、疑いのあるイランの航空機や船舶の積荷に対する検査を可能にするとともに、イランの銀行2社に対する監視を実施する。IAEAは90日以内にイランによる決議の履行状況を安保理に報告する」と決定しています。
イランに対する3回目の決議案をめぐり、安保理常任理事国5カ国とドイツは1月22日、ベルリンで合意に達しました。
イギリス、フランス、ドイツの3カ国は先月25日、この決議案を安保理に提出しました。
一方、ベトナム、南アフリカ、リビア、インドネシアの4カ国はこの3回目の決議案に難色を示しましたが、EU諸国による調整でインドネシア以外の3カ国は賛成に回りました。
決議が採択された後、安保理常任理事国5カ国とドイツの外相は共同声明を発表しました。
声明は「国際社会はイランの核開発による核拡散の危険性に重大な懸念をもっている。安保理常任理事国とドイツはイランとIAEAの協力で核問題が進展を見せたことに注目する一方、イランがIAEAと安保理の決議を受け入れないことを遺憾とする。われわれは交渉による解決を維持しており、2006年6月に提出した『包括的見返り案』は依然有効であり、これに基づいた交渉を期待している。イランがウラン濃縮を停止すれば、見返りを与える」としています。
一方、イランはこれまでの制裁決議を一切受け入れておらず、核開発を継続し、主権を擁護するとしています。
中国の王光亜国連大使は「単なる制裁は問題を解決できない。交渉は最善の手段である」と述べました。
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