安保理常任理事国5カ国とドイツの外相が22日ベルリンで会合を開き、核問題でイランへの制裁強化を求める安保理への新しい決議草案で合意しました。
会合後の記者会見で、ドイツのシュタインマイヤー外相は「ドイツ、フランス、イギリス3カ国はEUを代表してイランへの制裁強化をめぐる新しい決議草案を安保理に提出する」と発表しましたが、草案の具体的内容は明らかにしませんでした。
一方、アメリカの外交筋は非公式の場で「草案の内容には、イラン政府関係者の渡航禁止や資産凍結が含まれているが、懲罰的な経済制裁は盛り込まれていない」と明らかにしました。
中国の楊潔チ外相は「世界の核拡散防止体制を守り、外交手段により、イラン核問題を平和的に解決することは中東地域の平和と安定を擁護し、国際社会の共通した利益にも合致している。関係側は外交努力を強め、イラン核問題の善処を図るべきである。中国は平和的交渉を支持し、各国と共に生産的な役割を果たしていく」と述べました。
ドイツのシュタインマイヤー外相は「今回の外相会合は実りある成果を収め、問題の解決にプラスとなった。6カ国はイランの核問題を憂慮しており、国際原子力機関に対する未解決問題の解消を履行し、信頼を回復させるべきである。また、イランによる核兵器開発への憂慮が解消されていないが、国際社会は悲劇的な結果を回避するため、努力を続けていくべきである」と述べました。
去年9月、6カ国外相がニューヨークでイランへの3度目の制裁決議をめぐる協議を行いましたが、合意に達しませんでした。
そのなか、12月、アメリカで国家情報評価報告が発表され、イランが2003年に核兵器開発計画を停止していたことが明らかにされたことで、イランへの制裁強化論にマイナスの影響を与えています。
また、ロシアがイランの原子力発電所に核燃料を供給し、アラブ諸国とイランとの関係も改善されるなど、イランに対する外部的圧力が緩和されています。
一方、去年12月、国際原子力機関のエルバラダイ事務局長はイランを訪問しました。
その際、イランは1カ月以内に、核開発計画の未解決点をめぐり回答を行うと約束するなど、協力的な姿勢を示し、国際原子力機関へ核問題の差し戻しを求めました。
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