今年の3月24日、国連安保理は、イランの核問題に関する新しい決議草案を採択し、イランの核計画とミサイル計画に対する制裁を強化しました。しかし、イランは相変わらず核計画を推進しています。
イランのアフマディ・ネジャド大統領は、4月9日、メディアに対して、「イランはすでに核燃料を工業生産する能力を持っており、核技術を持つ国家の仲間入りをした。計画に基づいて、イランは一定の時間内に、少なくとも2万メガワットの核エネルギーを生産し、医学や農業、工業などの分野に用いる」と明らかにしました。
8月28日、アフマディ・ネジャド大統領は、イランはすでに「核所有国」になったと改めて発表し、引き続き核エネルギーの平和利用計画を推進するとの姿勢を示しました。
これに対して、アメリカは憤りを隠しませんでした。10月25日、アメリカはイランへの新しい制裁措置を発表しました。これによって、イラン核問題をめぐって両国の争いはますます激しくなっています。
幸いなことに、国際社会は全般的に冷静な態度をとっています。IAEA・国際原子力機関のエル・バラダイ事務局長は、イラン核問題を解決する上で、鍵となるのはあくまでも話し合いによると数回にわたって強調しました。中国の楊潔チ外相も、イランの核問題は、外交交渉を通じて解決すべきだとの立場を何度も表明しました。また、ロシアのラブロフ外相は、平和的な手段でイラン核問題を解決すべきだとしています。
一方、イランは制裁に対して強硬な態度を取っていますが、交渉の扉を閉ざしていません。アフマディ・ネジャド大統領は、対等な条件で交渉する可能性は排除しないと表明しています。4月9日、アフマディ・ネジャド大統領は、「イランはこれまでIAEAに協力している。IAEAがイランの核施設に対して査察することも許可している。イランの核開発計画は、開かれたもので透明であり、平和利用の範疇を超えたことはない」と述べました。
IAEAのエル・バラダイ事務局長は、6月23日、当時イラン核問題の首席交渉代表を務めていたラリジャニ氏と会談した後、イランが確かにIAEAに協力する意欲があることを保証しました。
しかし、アメリカのブッシュ大統領は、「アメリカはイランに対する政策を変えない」との立場を示しました。ブッシュ大統領は、「イランにとっては、国際社会にその核活動の範囲をすべて公開し、ウラン濃縮を中止して交渉を行うという提案を、全面的に受け入れるか、或いは、引き続き国際社会から孤立するか、戦略的な選択をしなければならない」と強調しました。
このような情勢の下で、イランの核問題はこれからどう進むのか注目されています。中国の華黎明前イラン駐在大使は、このように分析しています。
「2008年以降のイラン核問題の傾向と言えば、その一つは、アメリカが武力行使する可能性がより小さくなることだ。もう一つは、IAEAの役割が大きくなり、イランとより一層の協力を行うことだと思う。いずれにせよ、全般的な情勢はイランにとって更に有利になり、アメリカにとって有利ではない」と語っています。
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