IAEA・国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は11日と12日の2日間、イランを訪問しました。
訪問期間中、エルバラダイ事務局長はイランの最高指導者ハメネイ師、アフマディネジャド大統領、ジャリリ最高安全保障会議事務局長など指導層と広汎な意見交換を行いました。
特に、去年国連事務総長のイラン訪問の際に会見を拒否したハメネイ師との会談はエルバラダイ事務局長に対する厚遇ぶりを示しています。
去年11月、イラン核問題に関する報告書を安保理に提出しました。
報告書は「核計画における未解明な点を解消することにつしてイランはIAEAと十分な協力をしたが、安保理が求めているウラン濃縮活動の停止は実施されていない」と指摘しました。
エルバラダイ事務局長のイラン訪問を前に、IAEAの報道官は「事務局長は訪問を通じ、未解明な点を解消することを希望すると共に、イランの核開発計画の過去と現在を究明し、監視と査察の方法を模索する」と述べました。
アメリカの情報機関は先月上旬、イランが2003年から核兵器開発を停止していたと発表しました。
一方、ブッシュ大統領はイランへの追加制裁の発動を安保理に求めており、「核兵器生産に必要な知識を得れば危険だ」とし、今月8日からの中東訪問を通じ、イランへの対応でイスラエルおよびアラブ諸国に協力を要請しました。
イランは核問題が安保理からIAEAに差し戻されることを希望しています。
イラン議会の国家安全保障・外交政策委員会のボルージェルディー委員長は「エルバラダイ事務局長の訪問は核問題の解決のために重要な意義がある。イランはIAEAとの取り決めを履行し、完全に解明されていない問題の解消に向け協力する」と述べました。
イラン原子力庁のサイーディ次官は「IAEAとの協力強化は核問題の正常化と脱政治化および安保理からIAEAへの差し戻しにとって有利である」と述べました。
最高指導者のハメネイ師は「イラン核問題の安保理付託は意味が無く、イランを屈服させようというアメリカの目的は達成できない」と強調しました。
アフマディネジャド大統領も「イランは核問題の交渉相手としてはIAEAだけを認める」と強調しました。
イランは安保理による追加制裁の発動を回避しようとしており、IAEAの役割が重要になってきています。
エルバラダイ事務局長はイランとの広汎な協力を通じ、未解明問題の解消を求め、3月のIAEA理事会会議が開催されるまでに事態の進展を図るよう期待しています。
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