ロシアとハンガリーは、2月28日モスクワで、天然ガスパイプライン「South stream」(サウス・ストリーム)をハンガリーで敷設することに同意しました。計画の提出から実行まで、このプロジェクトが迅速に進んできました。このプロジェクトを主導的に提唱するロシアは、巨大な経済的な利益を獲得するとともに、政治的な競争で主導権を握るようになるとされています。
天然ガスパイプライン「South stream」(サウス・ストリーム)計画は、ロシアとイタリアが共同で提案し、全長900キロ、ロシア国内の港からスタートし、黒海海底を通ってブルガリアに至り、その後は枝分かれして、南西はギリシア、北西はルーマニア、ハンガリー、オーストリアへ、そしてイタリアの北部までガスを運ぶ計画です。
2007年6月、ロシアとイタリアの関連会社は、協力の覚書に調印しました。それ以来、プロジェクトが順調に進んでいます。2008年に入ると、ロシアとイタリアの合弁会社がスイスで設立されるほか、ロシアがブルガリア、セルビア、ハンガリーとそれぞれ、パイプラインの敷設を運営する合弁会社を作りました。このプロジェクトは、今年か来年にスタートする計画で、3年後に輸送を始め、毎年、ヨーロッパに300億立方メートルの天然ガスを運ぶことになります。
パイプライン「South stream」が提起された時から、関係者たちは、「ロシアがエネルギー価格高騰の折、巨大な経済的利益を獲得するとともに、政治的な利益も獲得できる」と分析しました。
2005年、ロシアとドイツは、バルト海を回る天然ガス輸送パイプライン「North Stream」(ノース・ストリーム)の敷設に調印しました。この計画は、2010年に完成し、その際、ドイツに毎年550億立方メートルの天然ガスを輸送することになります。南北にあるこの二つのパイプラインにより、ロシアは、直接西ヨーロッパや、南ヨーロッパ、中部のヨーロッパに天然ガスを輸送できるようになり、越境輸送の制限がかなり減少することになります。
これにより、ロシアは、EUとのエネルギーに関する競争で優位に立ちました。EUは、以前からエネルギー供給でロシアへの依頼を減らそうと考えており、天然ガスの輸送パイプラインを進めていますが、「South stream」(サウス・ストリーム)の進展は、このプロジェクトに影響を与えました。
また、エネルギーの協力で、ロシアは、中東ヨーロッパやバルカン地区諸国との関係を緊密化させました。ブルガリア、セルビア、ハンガリーと合弁会社を作る時、ロシアは、いい条件を出しました。株を半々に分割して、強国主義のイメージを薄くしました。一方、ロシアは、これらの国でガス貯蔵ステーションを作ることに同意しました。これらの措置により、現地のエネルギー供給の改善や、経済的な利益の獲得、また、EU内のエネルギー供給で地位上昇にも役立ちます。このことから、ロシアがこれらの国々と関係を強化するとともに、東ヨーロッパやバルカン地区での政治的な競争で一歩先に主導権を取りました。(翻訳:李軼豪)
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