グルジア内務省は7日の声明で、ロシアの戦闘機がグルジア領空に侵入し、ミサイルを投下したと発表しました。また、グルジア外務省は、これについてロシアを強く非難し、この事件についての説明をロシア側に求めました。一方、ロシア側はこれを否定し、これは両国関係を破壊する者の行為だと指摘しました。
グルジア内務省の声明によりますと、スホイ24と見られる戦闘機が6日夜、グルジアの領空に侵入し、ツィテルバニ村に700キロのミサイルを投下したところ、ミサイルは爆発せず、けが人はなかったということです。事故現場に赴いたメラビシビリ内相は、「軍のレーダーが、戦闘機がロシアから飛来し、またロシアに戻ったのをとらえた」と述べました。そしてグルジア外務省はグルジア駐在のロシア大使を呼んで抗議しましたが、ロシア大使はこれを否定しました。
一方、ツィテルバニ村から遠くない南オセチア自治州の当局者は、「ミサイルは、グルジア空軍が自治州空域に入って投下したもので、州内の別の村を標的としていたが、誤ってこういう結果になったものだ」と指摘しました。
以上のように、事件の真相はまだはっきりしていませんが、グルジアとロシアの関係にこれまで影を落とした南オセチア州とは直接なかかわりがあることには違いありません。南オセチア州は、1993年の住民投票によってグルジアからの独立とロシアへの合併を求めたことにより、グルジア当局との関係が急に悪化し、武力衝突にまで激化しました。南オセチア州はロシアとの関係が密接であることから、グルジア当局は、ロシアが陰で南オセチアを支持していると非難しており、また、グルジアは親欧米政策を取り、NATO・北大西洋条約機構にも加入したこともあって、ロシアとの関係は悪くなっているのです。こういう背景の下に、不明のミサイル投下という事件の発生は意外とはいえなくなります。
グルジアのサーカシビリ大統領は同じく6日、ミサイル落下現場を視察し、ロシア戦闘機によるグルジアの領空侵入とミサイル攻撃に対しては必要な対応措置を取るよう国際社会に呼びかけました。
サーカシビリ大統領は、また、「ロシアの目的は、グルジア住民の正常な生活を乱し、恐怖をもたらし、社会を分裂させ、グルジア政権の路線を変更させることにある」と非難しています。
このようなグルジア側の非難に対し、ロシアの軍当局は、「ロシア空軍には6日と7日両日午前中の事故発生の地上空における飛行任務はないので、グルジアの領空を侵犯できるはずがない」と述べました。そしてロシア外務省は、この事件について調査に乗り出す姿勢を示し、ロシア、グルジア、南北オセチアからなるグルジアと南オセチア間の衝突問題の解決に当たる合同監督委員会を回復させ、その活動を督促していくと強調しました。
現在、南オセチアで平和維持活動を行っているロシア、グルジア、南オセチアの三者からなる平和維持部隊と欧州安全協力機構もこの事件に対する調査に介入しました。
これについて関係者は、調査結果がどうであろうとも、今回の戦闘機とそのミサイル投下事件は、ロシアとグルジアの関係にとっては新たな試練となると見ているのです。
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