パキスタンはブット元首相の暗殺事件の暗闇から回復しつつまります。30日、人民党がブット氏の後継者を指名すると共に、1月8日に予定されるパキスタン議会選挙に参加することを宣言しました。一方、パキスタン政府は国内の治安情勢のコントロールやブット氏暗殺事件の調査など多くの課題を抱えています。
パキスタン人民党中央執行委員会は30日、ブット氏の後継者を決める会議を開き、ブット氏の息子、ビラワル・ブット・ザルダリ氏と夫のアシフ・ザルダリ氏がそれぞれ人民党の総裁と共同総裁に就任することになりました。会議後、アシフ・ザルダリ氏は、人民党がパキスタン議会選挙に参加すると明らかにすると共に、イスラム教徒連盟シャリフ派に選挙ボイコットをしないよう呼びかけました。
ブット氏が暗殺された後、イスラム教徒連盟シャリフ派は、議会選挙のボイコットを表明しました。その後、シャリフ派の報道官は、人民党が選挙に参加すれば、シャリフ派も選挙ボイコットの決定を考え直すと述べました。人民党が選挙参加を発表してから、シャリフ派も1月8日に予定される選挙に参加すると宣言しました。
これまで、パキスタンの与党、イスラム教徒連盟クアイディアザム派は、ブット氏の哀悼活動が行われていることや、一部野党が選挙ボイコットの意向があることから、総選挙が延期される可能性があると見ていました。
このため、イスラム教徒連盟クアイディアザム派は総選挙延期の可能があると発表しましたが、人民党とシャリフ派の二大野党が選挙参加を表明したので、議会選挙が予定通り行われると、世論は分析しています。
選挙の問題をさておき、パキスタン政府にとって、ブット氏が暗殺された後にいかに国内の治安を回復させるのかも大きな課題となります。統計によりますと、ブット氏が暗殺された後、パキスタンの一部の騒動によって、死者が百人近く、直接経済損失が百億ルピーになっています。ますます厳しくなっている治安情勢に対して、ムシャラフ大統領は、「一部の人が抗議の名の下に、国民の命と財産の安全を脅かしている」として、あらゆる手段を講じて国民の安全を守る姿勢を表明しました。
一方、ブット氏の暗殺事件に対する調査も順調ではありません。まず、人民党とパキスタン政府でブット氏の死因に対する言い方が違うことです。人民党は、ブット氏が銃殺されたことを認めています。また、ブット氏を暗殺した元凶についての調査も行き詰っています。パキスタン政府の調査による結果は、アルカイダのリーダー、メフスードの企画によって、ブット氏が暗殺されたと発表しましたが、これはメフスード側の報道官に否定されました。このほか、ブット氏の夫、アシフ・ザルダリ氏がブット氏暗殺事件の国際調査グループを設立することを国連に求めましたが、パキスタン政府に反対されています。パキスタン内務省は29日、パキスタン政府は今後7日間内に有名な裁判官からなる独立調査グループを設け、ブット氏の暗殺事件に対して調査を行うことを発表しました。
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